新人アイドルの恋事情 3th (ページ1)

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Ninety-two ページ1

「A、今日はこの後歌番組の収録。明日はバラエティー2本と朝のニュース番組出演あるから。歌番組は前回みたいな出演じゃなくスタジオゲストとして登場だから気を入れて取り組むように。ニュース番組は長年続いてる長寿番組だからくれぐれも態度と出演者の先輩方への接し方に気をつけるように」

移動する車の中、つらつらと早口で今後のスケジュールを告げてくる流川さんの言葉を手帳へと書き留めていく。頭の中で流れを想像しながら、１つ１つの仕事に誠心誠意立ち向かえるように。

「しかし、Aの名前が急激に広がってきたね。フェスティバルでのステージが元々Aを知らなかった人をも引き付けたみたいだ」

「有難いことだよ。まだまだ新人なのにこんなにお仕事貰えて……頑張らなきゃ！！」

「……。……大丈夫？」

意気揚々と声高らかに宣言する私とは裏腹、流川さんはどこか神妙な顔する。

やる気が空振りしそうだとか、そういうからかいの言葉だと思って辞めてくださいよ、と笑って答えるけれど、彼の目は至って真剣。
……仕事が沢山入ってくるのは嬉しいことだし私だってやる気は満々。何が大丈夫、なのだろうか。流川さんの質問の意味がわからなくて、眉をひそめた。

「なんで？？せっかく色んなお仕事貰ったんだから、全力で頑張らないと！よーっし、やってやるぞー！！」

叫ぶ私に、流川さんは控えめに笑う。少しの違和感を残したまま、車はようやくテレビ局へと到着したのだった。

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「Re:valeさんに続き今度はTRIGGERさん……。トップアイドルと仕事被りすぎじゃない？」

番組の台本に最終確認で目を通しながら、ぼそりと呟く。向こうのファンの飛び火が来ないように気をつけて、なんて恐ろしすぎる忠告をしてくる流川さんに苦笑いだ。

「天君はドラマで一緒だし、昔馴染みでもあるし話しやすいけど……八乙女さんと十さんは初めてお会いするから緊張するなぁ」

「って言いつつもRe:valeさんの時より落ち着いてるね」

「だって向こうはずっと憧れてた人だったから……！っていうかそんなとこで比べないでよ」

ブツブツと言葉を交わしつつ、スタッフさん達にも挨拶をしながら廊下を歩く。TRIGGER様、と書かれた部屋の前に到着すると、自分を落ち着けるように1つ息を吐いた。

コンコンコン、丁寧なノックと失礼致します、と一言挨拶。

声色からして十さんだろうか。どうぞ、と優しげな声に一呼吸置いて、静かに扉を開いた。