我が身にたどる女王【ツイステ】 (ページ49)

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『……一つ、あるわ、分かるわね？クロウリー』

「……ええ。もう一つの封印の方法。それは、本人……リヒルデさんの魔力量を凌ぐような存在に彼女を倒させること」

魔力により圧倒し、物量差にものを言わせて封じ込めるのだ。オーバーブロットを使うよりよっぽど出鱈目な力技である。

『ええ、その通り。リヒルデより強い魔法士となると難しそうだけれど、幸い、この"時代"には適任が居るわ』

いつも凛としていた声色が、今だけは重々しい湿度を孕んだ。嫌な予感がした私はごくり、と唾を飲んだ。

『……因縁の子、ネージュ・リュバンシェを使いましょう』

ネージュ・リュバンシェといえば確かにRSAでは成績優秀な生徒だと聞いているが、流石にリヒルデさんを押さえ切れるのは難しいだろう。

「ネ、ネージュ・リュバンシェ……？！そんな馬鹿な！リヒルデさんの相手ですよ！そんな子供に……！……VＤCの際に見た時は、そこまでの力を持っているようには見えませんでしたが……」

『あの子も訳ありよ。言ったろう？因縁の子だって。……主人公が悪役を倒すって筋書きにはピッタリだわ』

彼女の妙な言い回しが引っかかる。シェーンハイト君のオーバーブロットの原因を全く理解していないというわけでは無いだろうに。正直悪趣味に思える。

『何、心配いらないわ。偽りの主人公にはいずれ退場してもらうからね。幕は私達が閉めるの。……舞台で最後まで踊っているのは誰の役目か、リヒルデもしっかり理解している筈よ』

「それは了解しました。が、ネージュ・リュバンシェとリヒルデ・エーレンベルクとの間に何があったんです？それが分からなければ私も動き方を変えなければなりません」

『いいわ。まだ時間もあるし、話してあげる』

存外ご機嫌そうな声にホッとすると、私は静かに画面に耳をそばだてた。

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side-リヒルデ

ドキドキしながら一人で訪ねたのは、ポムフィオーレ寮。鏡を潜るとすぐに、絵本でしか見たことがないような荘厳な城が聳えていた。

私との個人的因縁も勿論深い寮だが、入ったのは初めてだ。しかも一人で。今はあの二人しかいないと分かっているのに……いや、分かっているからこそか……らしくない緊張に苛まれている。

今回用があったのはルーク・ハントだ。

彼もさっきの戦いで怪我を負い、休暇中で医務室が休みであるため、ポムフィオーレで療養している。そんな彼に、私は話したいことがあった。