episode-24 ページ26
「まさか、ここが僕の世界……？」
「心当たりはある？」
「まあ、あるというか……映画館なら僕が居た世界に限らずツイステッドワンダーランドにもありますし、断言は出来ないですね」
そのまま二人で狭いシアターの中を探索していたが、特に怪しいものは見当たらない。となれば、残すところは……
「ここの扉、開けますか？」
耐えかねて、先程からちらちらと視界に入っていた出入口らしい扉に手を掛けた。
「そうするしか無いわね……私が開けるわ」
リヒルデさんが僕と扉の間に割って入った。ガチャ、と開いた扉の隙間から光が漏れる。リヒルデさんが恐る恐る覗き込んだ後、すぐに僕を振り返って言う。
「っ……ユウ、見てみる……？」
途端にリヒルデさんの眉間に深い皺が刻まれたのが見えて、嫌な予感がした。酷い緊張感を覚えながら、僕も恐る恐る扉の隙間を覗く。
「！……っ、は、」
違った。そこは、僕のいた世界では無かった。……そう思いたかった。
扉と外界との間に結界か何かが張ってあるのか、音がないので詳しい状況は分からない。しかし、確かに僕の知る町はそこには無かった。
「嘘だ……ここ、違います……そうに決まってる、そんな、」
建物は見渡す限り瓦礫の山と化している。優しい人々もいない、町の少ない彩りだった木々や草花も焼けてしまって、町は灰色一色になっていた。僕の居た町との共通点なんてどこにもない、どこにも無い筈なのに。
どうして涙が出てくるんだろう。
「ううっ……、うそです、こんな、っうそなんです、……ここなわけない……ちがうんです」
「ユウ、落ち着いて」
顔を押えてしゃがみ込んだ僕の体が、暖かいものに包まれる。抱きしめられているのだと気付くのに時間がかかった。
「怖い思いをさせたわ。ごめんなさい、私がここへ連れてこなければ……」
「っ、リヒルデさん、……うぅっ、……泣いているんですか……？」
「っ、……泣いてないわ」
頭上から聞こえた涙声にハッとして思わず問いかけてしまう。泣いてないなんて嘘だ、僕の頭を包んでいる貴女の胸が震えているから。
「泣いてないし……泣かないわ。だけどアンタは泣きなさい。ここにはアタシしか居ないんだから。……"母さん"がちゃんと抱きしめているから、一杯泣きなさい」
「ううっ、……ぐすっ、うぅ、……っ、」
泣いても泣いても枯れない。時間を忘れて、惚れた女
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作者名：虹雪 | 作成日時：2024年2月8日 2時
