Prologue-2 ページ2
「それで、どうして私の封印は解けてしまったの？」
驚異的とすら言える彼女の美貌に睨まれて、年甲斐もなくクロウリーは身が竦んでしまう。
「私にも分からないんです……急に数ヶ月前から闇の鏡のブロット値が不安定になって……」
「じゃあ、また私を封印する？」
「馬鹿言わないでください！貴女の魔力を封じるのにどれだけ大変だったか覚えているんですか！？」
「ええ、あの時は私も死ぬ覚悟だったわ。もう二度とあんな思いをするのは御免ね」
飄々とそんなことを言ってのける少女にクロウリーは｢もう何度もやってるじゃないですか｣と眉根を寄せる。
「半端に封印を解いたから頭痛が酷いわ。何が原因だと言うのかしら？だって、私が目覚めるにはまだ……」
「ええ。早すぎます」
「まだ『化け猫』は"目覚めて"いない、それで合ってる？」
｢そうです。しかし、もう『七人目』まで終了しましたからね……良いタイミングと言えば、そうだったのでは無いかと｣
「そう。順調に進んだのね。それで、あの子は？」
「……っ！リヒルデさん、貴女、記憶が……？！」
「記憶？何を言っているの？"あの子"を忘れるはずが無いでしょう？」
｢ああ！当たり前ですよね！ええ！……明らかに封印の不具合じゃないですか……｣
｢何か？｣
｢いいえっ！……ちょうど今在学中ですよ。貴女に似て美しくお育ちです｣
｢そう。安心したわ……問題は解けちゃったものをどうするかだけど、『化け猫』が"目覚める"までどこかに身を潜めることが……｣
少女が言い淀んだ理由に見当の付いたクロウリーは、またも頭を抱える。
「ここって男子校よね？さすがに私は置いて貰えないかしら……」
「もういいです！居てもらって構いませんから！住居も私が考えます！ああ、もう！どうしてこんな不測の事態が重なるんでしょう……！」
「まあ、感謝するわ。ありがとう、クロウリー」
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作者名：虹雪 | 作成日時：2024年2月8日 2時
