大毅くん、好きでした。

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「宮戸さーん！」




「はい、」




「今日よかったら飯行きません？」









入社当時のAちゃんと、重岡くん。




同じ大学で、さらに言うと同じ高校、面識もないはずなのによく部署に来て飯に行ってる。




薄々やけど、この2人付き合ってるんちゃうかなって思ってた。








「中間さん、仕事のことじゃないんですけど、相談してもいいですかね」





中「おん、どしたん？」





「最近、彼氏とうまくいってなくて...」









重岡くんが仕事以外で部署に来なくなったのも、





こんな相談を受けてからだった。




痛いくらいAちゃんと、重岡くんはお似合いだった。




だからか、重岡くんをライバルにしたくない俺は




心の中で元カレは違う人であって欲しいって願ってた。









重「お昼は行ってたことあったけど、飲むのは初めてやんな」




「え、あ、はい...そうですね...」









だけどAちゃんの焦りように、そんな俺の願いは呆気なく散った。




そして、憶測だった予想は当っていた。









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重岡くんはまだ、Aちゃんが好きなんやってこと。




俺からAちゃんを取り返すために、今日は飲みに誘ったこと。









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Aちゃんは離したくない。





こんな幸せを感じて、また1人になるのが怖いから。





色々な不安があるけど、





今は腕の中のぬくもりだけを信じていたい。





「好きじゃないです」





そんな、見え透いた嘘なんて忘れて。









「今日だけは、こうやって寝させてや。」









今日だけは、モラルとかAちゃんの気持ちから逃げて、





自分の欲を満たして欲しい。




そんな本心を隠して、Aちゃんに言った。




今日は、いつもよりも寝れそうで寝れなそうな。




大きな動悸を感じながら、俺は目を閉じた。

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