１１３ ページ14
.
sn「う〜ん…まぁ今はいいや。口調どうこうよりもまずこっちだ」
『っ、』ﾋﾞｸｯ
そう言って私の額へ優しく片手を当てたシンペイ様
いきなりのことでビクッと身体を震わせた私に申し訳なさそうな顔をしつつ、その手はゆっくりと首の付け根を辿り、肩、二の腕、最終的には手首へと行きついた
sn「熱もなし、脈も正常。見たところは大丈夫そうだ。他に自分で痛むところはありますか？」
『今のところ特には…』
sn「ならよかった、何かあったら直ぐに言って？」
ニコリと微笑んだシンペイ様は手元にあるバインダーに挟んだ紙へ文字を書き連ねる。書いているのは私の問診票といったところだろうか
そのせいで訪れた沈黙の間に、私は周りをぐるりと見渡した
やはり見覚えのない場所だ、シンペイ様がいらっしゃった時点で何となく察しはついていたが…ここはどうやら我が国クランウェルでは無いらしい
意識を失う前の状況を思い返し、考える。きっと今居るこの場所は…
『“我々国”…ですか』
sn「うん、そうだよ」
私の質問にはこれといった主語がなかったのにも関わらず、肯定の言葉を示してくれたのはある程度聞かれるであろう質問がわかっているならだろうか
あのとき、恐らく私はチーノに気を失わせられたのだろう。そして私の意識がないうちにここへと運ばれた
クランウェルと我々国を行き来するには馬車で凡そ２日は必要だが…馬単体や四輪駆動車、もしくは余程足の早い人に運ばれれば１日くらいで済むかもしれないな
現在の状況を必死に整理している私をどう解釈したのかは分からないが、シンペイ様が若干顔に影を落としつつ口を開く
sn「いきなり連れてこられて混乱してると思う。彼らに変わって先に謝罪する、ごめんね」
『………いえ、』
そのことに関しては別にどうとも思っていない。仮にチーノに気絶させられなかったとしても、私は最終的にこの国へ来ることになっていただろうから
最後に覚えているお父様の台詞は、私がこの国に行くことに対して「条件がある」と言っていたことだった
(きっと、お父様は条件を呑んだんだろうな)
となれば、今の私はクランウェルの為にお父様の手によってグルッペン様の婚約者という立場で我々国に捕らえられた様なものなのだ
それに後悔や失望などの負の感情は全くと言っていいほど感じないが…その代わり、何故か達成感や喜びのような感情も何故か何も感じなかった
『…幾つか質問をしてもよろしいでしょうか』
sn「俺が答えられる範囲なら」
…この方は、とても優しい人なんだな
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 925人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろいるか - え”、下書き中やーーーん (2022年10月11日 16時) (
レス) @page50 id: ebfe8bc644 (このIDを非表示/違反報告)
奥山乃愛(プロフ) - 夢主綺麗だよね〜絶対！無理せずに頑張ってくださいね！ (2022年10月10日 17時) (レス) @page50 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
柊 - 新作!!!楽しみにしてます、頑張って下さい! (2022年10月8日 23時) (レス) @page50 id: 98cd497361 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - そして、emさんも好きになってしまうというジレンマ...君は保護者ポジかな?それとも恋愛対象ポジかな?どっちなんーだい??! 頑張って下さ〜い! (2022年9月29日 21時) (レス) @page49 id: 98cd497361 (このIDを非表示/違反報告)
奥山乃愛(プロフ) - emさん動揺し過ぎだね…無理せずに頑張ってくださいね！ (2022年9月28日 7時) (レス) @page49 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レッドウルフ
| 作成日時：2022年5月23日 12時
