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次の日の朝。
昨日聞いた話だと香本は二日後から亦教室に戻ってくるらしい。
一人で教室に入りたくもないので一緒に行く、と説得しようとしたが、
流石に四日も勉強しないのはいけない、と諭されてしまった。
久々の制服に着替え、自室から出る。
「大丈夫だ、大丈夫」
自分に言い聞かせる。
教室への距離は少し、亦少しと縮まっていって。
ついに辿り着いた扉の前、中からは楽しそうに談笑する声。
入らなければならないのに、入りたくない。
その場に立ち往生していると、背後から声がかけられる。
「入らないのかい?」
「う、おっ……ジェフリーか、お先にどうぞ」
何時もと変わらずにこにこと笑い乍此方を見下ろし、声をかけた彼に道を譲る。
しかし彼は中に入ろうとはせず、じっと此方を見ているだけだった。
「……中、入らないの?」
「君こそ、入らないの?」
「僕、僕はー……」
なんと答えるべきだろう。言葉に迷っていると、いきなりガッシリと腕を捕まれる。
抵抗する間も無く扉の前まで引き摺られ、直ぐに目の前の扉が彼の手によって開かれる。
「おはよう、皆」
「あっ、ジェフリー!おはようございま……A!Aじゃないですか!」
挨拶をした彼にいち早く気付き、更にその__少し言い方は悪くなるが__手元に居た僕にも素早く気付いたのは、理絵だった。
「わあ、なんだか久し振りですねー!大丈夫ですか、体調でも崩してたんですか?」
「別にそういう訳では……心配してくれてありがとう、嬉しいよ」
矢張訝しげに此方を見ている生徒も多いが、以前から交流の多めだった何人かは僕に気付くと直ぐに駆け寄り、理絵の様に心配してくれた。
なんてありがたいのだろう、そう思った。
下手すれば村八分の状態すら覚悟していたのに、こんなにも心配してくれる人が居た。
それもこれも香本が「確り学校に行け」と言ってくれたからだ。
矢張君には感謝してもしきれないね、心の中で小さく呟いた。
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作者名:イル@初心者 | 作成日時:2016年2月29日 3時