【全員主人公】愛されたい者、必要とされたい者 (ページ14)

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「君が居なくなるかもしれないのが、悲しいのかな」

ぽつりと呟いた言葉は、寒くも暖かくもない絶妙で微妙な空気の狭間に溶けていった。
辿り着いたのはとある草原、花の咲き誇り青々とした草が茂る美しい場所。
その中に倒れこんで片手で目を覆う。

「……あーあ、亦一人減るかもしれないんだ」

僕を必要としてくれる人が。
誰からでも良い、真実の“愛“を求めた君にきっと僕は必要とされていたのだろう。
その必要とされていたのに気付かず、振り払ったのは僕だ。
気付いたのはつい最近。
やっとその“必要“に気付いて手を差し伸べれば、君は嬉しそうに笑ってくれた。
君は亦僕を必要としてくれた。
そんな君は、僕のせいで失われかけている。
ねぇ、どうするんだい？
君が居なくなってしまえば、こんな学校、美しい人は誰一人として居なくなってしまうよ。
ねぇ、君が居なくなってしまえば、傷の手当ては誰にしてもらえば良いんだい？
皆が思っている以上に僕は自分を大切にするのが下手なんだ、全て絆創膏で済ませてしまうよ？
君が思っている以上に僕は弱いんだ、きっと練習試合でも直ぐに負けて怪我するだろうね。
ねぇ、ねぇ＿＿

「僕、僕は、君とならさ」

＿＿此処に来て初めて、本心から“お友達になりたい“って思ったんだよ＿＿

頬がやけに冷えると思った。
袖はもう水分を吸い込みきれなくなって、全てを頬に受け流していた。
嗚咽混じりのこの声は、何時か聞いた君の声によく似ている気がした。
何かを必要として出るこの涙は、君の流したものの様に美しいのだろうか。
暫くして落ち着いた頃、顔全体を濡れていないもう片方の袖で拭き乍立ち上がる。
その瞬間目に入った綺麗な茜色の夕焼けは、亦君を連想させて。
先程までと比べれば少量の涙が亦流れ始め、誰にもバレないようにと俯き乍学校に向かった。