貴方の炎に (ページ8)

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7話ページ8

広がる炎。立ち上がる土煙と破壊音。
「貴女がこの破壊を起こしたのです」
崩壊する校舎。血塗れの同僚と生徒たち。
「貴女の本性はこれなのです」
自分の手は誰のかはもう分からない程の血で塗れている。
「貴女は善人にはなれない」

「貴女は元祖返りなのだから」

悪夢、と言うのだろうか。多分これは六指衆からのメッセージだろう。脳に直接来ていた。
私は眉を顰めベッドから起き上がる。
痛む体に鞭打って足を動かしス魔ホでメールを打つ。
「サリバン様
六指衆から接触してきました。この学校を」
と打ちかけて手を止めた。私が壊す夢でした、なんて続けられるか？
私は思ったよりこの場所に恋々としてしまっているようで。
何時の間にか震えを覚えていた体を落ち着けたくて、学校を出た。
出るなと言われ続けていた外は夜であるというのに明るくて。
しかし、私は出てしまえばもう戻ることが出来ないことを知っていて、それを恐れているから。
門を超えることはしなかった。
けれど、今日は一人でいれば暗闇に呑まれてしまう気がする。
六指衆に染められてしまう気がする。
だから、サリバン様へのメールを削除し、代わりにイフリートにメールを打った。

「夜中にごめん。来てほしい」

私が門にたどり着くころには彼は着いていた。
「A！どうした？」
彼の為に離れなくちゃと頭では思うのに頼ってしまうのは。
このあふれる涙が止まらないのは。私の所為？

医務室のベッドに二人腰掛、私はポツリと現実的な悪夢の事について話した。
「分かって居るんだ、彼奴らが見せる幻像に過ぎないって。しかし、怖い」
失うのが？それとも傷つけるのが？
そんなの決まっている。…どちらもなんだ。
「私は私でいられるだろうか」
何時か正気を失って皆を傷つけ失いやしないか。

「大丈夫だ。AはAだから」

「どんなAも僕の…」
「イフリートの？」

「す…いや、友人だ」

好きと言うには…まだ。