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「お外に行くの?」






靴を履いて。




と、ぶっきらぼうに頼むと




不思議がりながらも、ピンクの靴のマジックテープを急いで付けてくれる。






「行くよ。」






しっかり靴を履いた女の子を確認して




少しドキドキしながら、




また小さいその手に触れて、ぎゅっと握った。









「…これ。」








指さしたのは、俺の嫌いな桜の木。






「わあ、大っきいねぇ…」






だけど、女の子は嬉しそうに桜の木の周りをぐるぐるしてる。





…犬みたい。







「ははっ、剛典くん!取った〜」








手のひらには、ピンクの花びらが2枚。







「ねえ、楽しい?」





「うん、楽しい〜」





「そう、」








安心した。




スッと、心が軽くなって




すぐ近くにあった石段に腰を下ろした。






「剛典くん!」






なんだか、こそばゆい。




女の子に「剛典くん」なんて呼ばれることないから。




みんな、剛典、岩田くんって俺を呼ぶ。







「なぁに?」





「Aの名前、知らないの?」





「どうして?」







「呼んでくれないから。

Aは剛典くん。って呼んでるけど

剛典くんは呼ばないから。」









どうしてそんなに、寂しそうな顔をするの?





正直、忘れていた。





自分で自分のことAが、Aって呼んでくれなかったら






きっと、俺はここまでずっと名前を知らなかった。









「A、」






恥ずかしいのをぐっと堪えて




聞こえるか聞こえないか




ぎりぎり聞こえるか。




そんな風に名前を呼んだ。







「ふふ、なぁに。」






Aにはしっかり聞こえてたみたい。








−「剛典、Aちゃん!ここにいたの。

Aちゃんのお母さん、迎えに来てくれたから帰りましょうね。」







「…帰るの?」





「うん!」





未だ、手のひらに2枚の花びらをのせて元気よく頷いた。





なんだか、面白くない。








−「ほら、剛典。お隣さんなんだからいつでも会えるわよ。」








こそこそっと、耳打ちしてくる母さんも嫌だ。






別にそんなんじゃない。





ただ、






「また来ていーい?」





「…うん、待ってる。」








胸の奥を突かれるような初めての感覚が





少し、心地よく感じただけ。






11 years ago ~summer~→←2



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yum(プロフ) - うわーー、どうしよう。名前が同じ先輩とくっついて欲しくない……一方的に一途に思い続けるのってすっごく辛いけど、嫌だよーー(泣) ……応援してます! (2017年10月25日 0時) (レス) id: 16305ab699 (このIDを非表示/違反報告)
はる - こんばんわー(≧∇≦)/勿論最後までお付きあいさせていただきます!!(o^_^o) (2016年3月13日 22時) (携帯から) (レス) id: dbdfd40753 (このIDを非表示/違反報告)
ピスタチオ(プロフ) - はるさん» おはようございます!今までで1番長くなる予定の作品なので、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。よろしくお願いします^ ^ (2016年3月12日 16時) (レス) id: 3a9972eb81 (このIDを非表示/違反報告)
はる - おはようございます!初めまして!これだけでもキュンキュンです(*´∇`*) (2016年3月11日 9時) (携帯から) (レス) id: dbdfd40753 (このIDを非表示/違反報告)
ピスタチオ(プロフ) - УU☆МЁさん» ふふ、ありがとうございます!更新、頑張ります! (2016年3月8日 0時) (レス) id: 3a9972eb81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピスタチオ | 作成日時:2016年2月21日 22時

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