青い空の下、キミが笑えますように。【短編集】

優しさという魔法。 ページ24

青side。




俺には、幼馴染の涼太がいる。

涼太は、魔法が使える。


幼稚園からずっと一緒にいる俺しか知らない秘密。





「涼太、おなかいたい。治して？」

「こっちおいで。」


そう言って、鞄から魔法のブランケットを取り出し、お腹にかけてくれてその上からお腹をさすってくれる。

５分くらい続けるとお腹の痛みはなくなって、調子が良くなった。


「ありがと。もうお腹痛くないよ。」





仕事での宿泊の時。



寝れない。

みんなで雑魚寝してたけど、いつもと違う環境やいつもと違う枕のせいか、

体はすごく疲れてるのに休めないのがもどかしくて、

気持ちがついてこれなくて、ぐずぐずと1人布団の中で泣いてしまった。


「翔太、大丈夫？」

「りょーたぁ…ｸﾞｽ…」


そんな時でも涼太は絶対気づいてくれて、なんで分かったのって聞いたら、

魔法が教えてくれたんだよって。


やっぱり魔法ってすごいでしょ。


涼太が一緒に布団に入ってくれて、腕枕してくれて、涼太にぎゅっと抱きしめられる。

「涼太の魔法を翔太に分けてあげる。」


涼太の腕の中に収まって、涼太が優しく背中をトントンしてくれると、魔法が発動したのか、すっと目が閉じて、意識を手放した。




「翔太のこと甘やかしすぎでしょ。」

気持ちいい眠りから目が覚めると、みんながそう言っていて…。


「起きないからって、そこまでしなくても。」

気づけば、身体が起こされていて、俺は涼太の胡座の上に乗せられ、涼太の身体に抱きつくように寝ていたみたい。


「りょーたぁ、おはよ。」

起きた？おはよってみんな声をかけてくれて、ぐっすり寝てたよって言われた。



「だって涼太が魔法使ってくれたからね。」


「「「「「「え？」」」」」」


「魔法って何？」

「涼太がいつも魔法でなんでも解決してくれるの。」


えっ俺今なんて言った？涼太が魔法使えるって言っちゃった？


急に目が覚めて、顔を上げると涼太と目が合った。


誰かに言ったら、涼太もう魔法使えなくなっちゃうからねって言われてたのに。


どうしよう。やってしまった。


「涼太、ごめんなさい…寝ぼけてて…俺…。」


いいよって笑った涼太。


「翔太、よく聞いて。俺は魔法なんて使えないよ。」


え？どういうこと？



そんなわけ…。だっていつも、お腹痛いのも治ったし、寝れない時もすぐ寝れたし…



魔法じゃなかったの？

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