青い空の下、キミが笑えますように。【短編集】

ふたりでひとつ。 ページ17

高校生設定。



緑side。



俺のクラスには、学校の有名人がいる。


「…涼太」

「翔太、どうしたの？」



ゆり組


なんて呼ばれるこの2人。

名前を呼ばれただけの宮舘くんは、ポケットからいちごの飴を取り出し、渡辺くんの口に放り込む。

口に入った飴を嬉しそうにコロコロ転がす渡辺くんの口元は、垂れ耳の白うさぎに似ている。


この2人、幼稚園からの幼馴染でいつも一緒にいるから、
クラスではゆり組〜ってまとめて呼ばれることも多い。

身長もほぼ同じ、制服も同じ、家はお隣さんな上に、名前も翔太、涼太。
似ている部分が多すぎて、もはや双子だ。


ただ、2人の決定的な違いは、体格差。

宮舘くんは、がっちりとした男らしい体型だが、渡辺くんはすらっとしててかなり細身。


実際は、宮舘くんの方が遅く生まれたみたいなんだけど、高校生にもなるとそんなことは関係なくなって、渡辺くんの方が今は少し小さい。





なんで俺がこんなに詳しいのかと言うと、クラスの席替えで、なんと



ゆり組の2人と席が近くなってしまったから。


教室の1番後ろの廊下側
宮舘渡辺阿部と並んでしまった。


「よろしくね。阿部」

「うん。よろしくね。宮舘くんと渡辺くん」


渡辺くんは、宮舘くんの背中に隠れてペコッとお辞儀してくれた。


「迷惑かけちゃうこともあるかもしれないけど、ごめんね。」

「名前、呼び捨てでいいよ。」


結局、あべちゃんって呼ばれることになって、俺も舘さんと翔太と呼ぶことになった。


良かった、2人とも優しそうだし、やっていけそう。



隣に座って授業を受けててわかったことがある。

翔太は、ほとんど毎日寝てるし、そんな翔太を起こす訳もなく、ブランケットをかけてあげて、ノートを2倍書く舘さん。


1度翔太が先生に当てられてたから、声をかけて起こそうとしたら、舘さんに怒られた。

「翔太のこと起こさないであげて？ごめんね。」

舘さんが翔太のことを甘やかしてるって言うのは有名な話だったけど、まさかここまでとは。


「翔太、授業終わったよ。起きれそう？」

授業中寝ていた翔太を、背中を擦りながら優しく起こす舘さん。

「…んっ…」


ゆっくり身体を起こした翔太はそのまま舘さんの腕の中にぐったりと収まった。


「翔太、ちょっと疲れちゃったね。」

腕に収まった翔太の背中を優しくとんとんしてあげる舘さんを見ると、


これは初めてのことではないんだなと、心配になった。

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