11.愛されたい ページ11
22歳の冬、妹を殺めた
気温は1℃あるかどうかも分からない程に冷え込み、指先を千切りに掛かってくる
敵が好き勝手暴れ、25階建てのビルが丸々ぶっ壊された
現場に駆け付けていた俺と貴方、そして彼奴
色んな事務所に一斉に依頼が来ていたらしく、事はものの数十分で片付いた
怪我人の捜索と手当に追われている時、頭上で鈍い音が響き、俺は上を見上げた
バランスを崩した3m程の大きさをした瓦礫が、こちらへと向かって来ているのが見え、個性を発動させようと手を空の方へと向ける
｢ねぇ〜！手貸して〜！！｣
自分から5m離れた所で、彼奴が俺に向かって叫び呼び掛けてくる
聞き慣れ、聞き飽きたその声に、俺は思わず素に戻り、手を空から地上へと戻す
戻してしまった
｢…は？…｣
いきなりの地響き、場は騒然とし、困惑の声が口々に洩れ始める
地響きの他に聞こえた、小さいけれど確かな音
彼奴が、潰されこの世から消えた音
泣き叫ぶ貴方の音、救助を呼ぶ音、大丈夫かと心配する音
彼奴の血が彼奴から流れ出る音
俺はどうして今手を下ろした？
俺は何故彼奴に向かって叫ばなかった？
どうして俺は目の前で実の妹が死んでいく姿を見ている？
どうして彼奴は死んだ？
瓦礫に潰された
どうして潰された？
彼奴が瓦礫の存在に気が付いていなかったから
どうして教えなかった？
死んでもいい、そう思った？
｢大丈夫か｣
｢…は、い｣
｢……。救急車が来たらお前と轟で乗り込め、この場の後は俺達に任せろ｣
｢…御迷惑お掛けします、すみません…｣
｢…誰か梦音の事頼めるか｣
｢はい｣
"死んでしまえばいい"
俺は確かに、そう思った
いいや、今だけじゃない、きっと、ずっと思ってきた
きっと、俺と彼奴がこの世に産み落とされてから、ずっとずっと
似た様な者は、2つも要らない
世界に俺は1人だけで良い
世界は俺だけで十分だ
自分自身の本質に酷く嫌気が差して、大して食べていない昼飯を吐き出した
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塩味(プロフ) - トアさん» コメントありがとうございます。いやほんとですよね、驚かせました。笑 嬉しいお言葉本当にありがとうございます！ 鼻をほじりながら待っていてくださると幸いです…。 (2020年3月17日 2時) (
レス) id: 82c0f8e0d9 (このIDを非表示/違反報告)
トア(プロフ) - 2年越しに更新あって驚きましたw自分もこの2人が結ばれるところを見たいと思ってました(切実に)。なのでとても嬉しいです。勝手に楽しみにしてますね！お気に入りが外せないくらいこの作品が大好きです。 (2020年3月16日 21時) (レス) id: 8b0257a1d4 (このIDを非表示/違反報告)
塩味(プロフ) - みのさん» コメントありがとうございます！私の作品で涙を流して頂けたなんて、とても光栄です。これからも応援していただけると幸いです。ありがとうございました！ (2018年3月4日 8時) (レス) id: d356dd4e6c (このIDを非表示/違反報告)
塩味(プロフ) - Teyさん» コメントありがとうございます！ そんなに素敵な言葉を頂けるとは…書いて良かったと凄く思います。これからも読んでいただけると幸いです。ありがとうございました！ (2018年3月4日 8時) (レス) id: d356dd4e6c (このIDを非表示/違反報告)
みの - 本当にいいお話でした。 涙が出ました。 これからも頑張ってください (2018年3月4日 0時) (レス) id: 3c8a2f8e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩味 | 作成日時：2018年2月16日 23時
