なぁ、15. ページ15
｢どうだった？久しぶりの学校は｣
｢…｣
｢そっか…恐かったね…でも、ちゃんと教室には入れたんだ、偉いじゃん｣
｢…！うん！｣
｢じゃあ約束通り、先生とお散歩しよっか｣
｢うん！｣
高校を卒業して、医学大学に入って俺が学んだのは心理学
大学病院の小児科に務めながら、幼いながらも心を閉ざしてしまった子どもと、毎日殴られようが泣かれようが接している
24歳の俺がもう大学病院に務めているのは本当だったらおかしい事で、卒業までに6年かかり、研修やら何やらでざっと8年はかかる
なのに何故俺がこの歳で働けているかと言うと…
単に頭の出来が良かったからだ
表面だけの人付き合いなら得意だったし、頭も良かった
それで色々飛び級というやつでここに居るわけ
まぁ、運が良かった
｢中庭行こうか、ね｣
｢うん！｣
180cmある自分と小学2年生の女児では身長差があまりにもあり過ぎる
ただこの娘は手を繋いでもらうのが好きな様で、好きな事はさせてあげないと要らないストレスがかかってしまう
ならば少しキツい体制だろうが何だろうがしてあげたい
寂しい、という感情がどれだけ苦しいか、良く知っているから
中庭に辿り着き、丁度よく空いていたベンチに座りゆっくりと日向ぼっこをする
実の所、俺は日向ぼっこは嫌いなのだが、子どものためだ、仕方が無い
上機嫌な顔で足をゆらゆらとばたつかせて微笑むこの娘を見て、頬が緩む
この娘も…もう少し、かな
｢あのね先生｣
｢ん？どした？｣
｢…学校に、好きな男の子が居るの｣
｢えぇ？先生じゃないの〜？｣
短くも長い彼女の闘病生活、出会いもあれば別れも当然の様にある
その中で、入院している子どもから｢先生と結婚する｣なんて言われるのはしょっちゅうだ
勿論、この娘からも言われた台詞だった
からかいながら頬を指で軽くつつく
恥ずかしそうに笑った彼女は｢先生とは別なの！｣
そう言ってまた笑う
｢先生は好きな人居たことってある？｣
｢……うん、勿論あるよ｣
｢どんな人だった？｣
｢う〜んそうだなぁ…｣
俺の好きな人は
笑顔が美しくて、少し口下手で、そのくせ人気者だから対処に困っていて、綺麗で美しい瞳と声と個性を持っていて
俺の人生を全て持って行ってしまうような残酷な人
｢とっても…綺麗な人だったよ、こっちが嫌になるくらいに｣
｢？嫌なの？｣
｢ううん…ずっとずっと、大好きだったよ
俺が困っちゃうくらいに、ず〜っと｣
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ゆー - とても面白かったです！切ない系が好きなのでバットエンドのほうが好きでした！！！！！ (2021年12月11日 8時) (
レス) @page23 id: 84f1ca0e7a (このIDを非表示/違反報告)
塩味(プロフ) - 太陽さん» わざわざコメントでご質問頂き、ありがとうございます。 轟くんは結婚しており、子供も授かっております。 最終的に2人が結ばれたのは、番外編としての結末です。 太陽様の理解力ではなく、作者の才が無いのが問題です。御足労頂き、大変申し訳ありませんでした。 (2018年12月11日 7時) (レス) id: d356dd4e6c (このIDを非表示/違反報告)
太陽(プロフ) - こんにちわ！読ませて頂いたのですが16話ってどうゆうことですか？轟君奥さんと子供が居るんないんですか？w間違いだったらすみません！最終的に夢主くんと繋がったからちょっとよく分からない…ごめんなさい！私の理系力がないんですけど…教えて欲しいですw (2018年12月11日 0時) (レス) id: caba446097 (このIDを非表示/違反報告)
塩味(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。 水分補給をしてから是非また見に来て下さい。そして水分補給を。 嬉しいお言葉、ありがとうございました。 (2018年6月11日 19時) (レス) id: d356dd4e6c (このIDを非表示/違反報告)
みみ - がち泣きしました笑 いいお話でした ありがとうございました！ (2018年6月10日 14時) (レス) id: e9261cfd17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩味 | 作成日時：2017年9月18日 22時
