なぁ、2. ページ2
別にヒーロー志望でも無い俺
理由は簡単で、他人に興味が湧かないから
この時点で少し人間として出来の悪い人間なんだろうと、自分でも感じている
ただ、今この瞬間だけは
｢轟の氷の方の個性って母親の方なん？｣
｢……あぁ｣
｢いいなぁ、綺麗な個性で｣
｢…｣
少しでも心の隙間を埋めてやろう、と思えた
人間の心が俺にはまだあった、そう思えた
"綺麗な個性"
そう俺が口にした後、俺とは反対方向を向いていた身体がこちらに向き、もそっと、顔を布団から出しこちらを見て来た
ずっと冷たかった轟がこちらを向くなんて、今までに無いこと
それが何だか嬉しくて、俺も少し距離を取って轟の方を向く
部屋の窓から覗く月は、満月でも何でもない、少しだけ欠けた月
その月明かりが、俺と轟を照らす唯一の光
俺を真っ直ぐに見つめ、何かを言いたげに視線を送る瞳は、いつもより透き通って見えた
蒼い瞳を真っ直ぐに見つめ返し、ぽつりとボヤく
｢目、それ何色？｣
｢良く分からない…でも｣
｢？｣
｢この色は…嫌いじゃない｣
轟は笑うと皺が出来るタイプなんだな…もっと笑えばいいのに…
蒼く美しい瞳を見ようとすると、必ず視界に入る、痛々しく変色した皮膚
俺はよく知ってる、怪我をすると、どれだけ痛いのか
火傷が、どれだけ痛むのか
良く、知ってる
｢目の所、それ火傷だろ？｣
｢…なんで？｣
｢俺も、火傷の痕あるから｣
｢…何処に？｣
｢背中と肩に。小さい頃、巫山戯て花火で遊んでたら良く覚えてないけど火傷してた｣
｢1人でか？｣
｢…ううん、他に遊んでた奴らは居たけど…みーんな逃げた。まぁ今となってはどうでも良いんだけどさ｣
｢…｣
今も、動く度に皮膚が突っ張ってしまって動きにくい
無理をすれば、皮膚が裂けてしまうんじゃないか、なんて思って動きが小さくなる
背中と肩、と言っても全体的にでは無くて、左側だけ痕が残ってる
幸い、首の方には痕は残らなくて、暑苦しい服を着なくても痕は隠せるから良かった
｢俺、火傷の痕恥ずかしいんだ、理由とかは良く分からないけど…轟は、火傷の痕隠したいとか思わないの？｣
｢俺は…俺も良く分からない。でも…隠したら、負けだって思うから隠さない｣
｢…負け、か…｣
分からなくも、無いけれど
分からない
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ゆー - とても面白かったです！切ない系が好きなのでバットエンドのほうが好きでした！！！！！ (2021年12月11日 8時) (
レス) @page23 id: 84f1ca0e7a (このIDを非表示/違反報告)
塩味(プロフ) - 太陽さん» わざわざコメントでご質問頂き、ありがとうございます。 轟くんは結婚しており、子供も授かっております。 最終的に2人が結ばれたのは、番外編としての結末です。 太陽様の理解力ではなく、作者の才が無いのが問題です。御足労頂き、大変申し訳ありませんでした。 (2018年12月11日 7時) (レス) id: d356dd4e6c (このIDを非表示/違反報告)
太陽(プロフ) - こんにちわ！読ませて頂いたのですが16話ってどうゆうことですか？轟君奥さんと子供が居るんないんですか？w間違いだったらすみません！最終的に夢主くんと繋がったからちょっとよく分からない…ごめんなさい！私の理系力がないんですけど…教えて欲しいですw (2018年12月11日 0時) (レス) id: caba446097 (このIDを非表示/違反報告)
塩味(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。 水分補給をしてから是非また見に来て下さい。そして水分補給を。 嬉しいお言葉、ありがとうございました。 (2018年6月11日 19時) (レス) id: d356dd4e6c (このIDを非表示/違反報告)
みみ - がち泣きしました笑 いいお話でした ありがとうございました！ (2018年6月10日 14時) (レス) id: e9261cfd17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩味 | 作成日時：2017年9月18日 22時
