Hunter×Hunter〜幕間劇part3［クロロ］

その75 ページ26

Aside


きっと私は『独り占めしたい』と言った時のクロロを一生忘れない


吸い込まれそうな深い黒曜の瞳が私だけに向けられていた


クロロの視線は美術館で宝石を見てたときなんかよりずっとずっと熱くて


その無邪気で妖しい輝きが、言葉よりずっと強く私の心を射抜いた



−私はこんなにも、クロロに求められてるんだ


『A？』


クロロが気遣わしげに私のほほに手をあてた


それで私は自分が泣いていることに気づく


『嬉し涙ってやつかな』


私はクロロの心配を振り切れるように笑ってみせた


つられたように笑うクロロが眩しい


『でも心配だなあ、団長さんってお宝ひとしきり愛でたら終わりじゃなかったっけ？』


冗談めかして、微かな不安を告げてみる

クロロは少しだけ眉をひそめて、目をそらして言った


『……ただ愛でられるだけの宝でもないだろう、Aは』


その返事にこめられていた信頼と、溢れるほどの愛情に今度こそ私は声をあげて泣き出してしまった

その時に玄関のチャイムが鳴って−

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