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せっかく後一本になってた指が、ぎゅっとまた私の手の甲に戻ってきて思わず『ヤー！』って声を上げてしまった。
TH「こっちがヤー！だよ！Aの話のが混乱するよ！彼氏は募集してないけど友達なら良いってこと？」
『いえ、友達も別に欲しくないかな…』
TH「あー、なら伴侶でいいよ。彼氏じゃなくて伴侶はほしいんでしょ？」
飛躍がすごい。
ぎょっとして振り払うように手を動かすけど、占い師が離さないからちょっと楽しそうにブンブン振ってる感じじゃん。
さっきから、ほんとコントみたいでしかめっ面が続かなくて、半笑いの私はきっとブスだと思うのに。
占い師がずっと嬉しそうだから、なんか変な感じだよ。
この人、他人の心の壁すり抜けるのがうますぎる。
『いやいやいや、伴侶とか望んでないですけど？誰がんなこと言ったかって』
TH「お母さんに、良縁をって言われたからだね」
母か…諸悪の…いや、でも。
良く考えろ私。
占い師はただ、私のモテ期を教えてくれたただけで、彼が魔法をかけたわけじゃない。
それなら、もし教えてくれてなくてこの状況が始まってたら？
私、電車のあの人みたいな人、山程作ってたんじゃないの？
ぞっとした。
『結果的に、あなたが事前に教えてくれたから、助かったんだ』
TH「へ？」
私の突然の真顔に戸惑ってる占い師に向き合って、真剣に頭を下げた。
『ありがとう。
お陰様で親切な人に助けてもらうこともできて、なんとか無事に生きてます』
大げさかも知れないけど、ほんとにそう思ったから、ありったけの感謝の気持を込めた。
占い師が何も言わないから、たっぷり10秒くらい下げてた頭をようやく上げたら、今までの無邪気な顔を引っ込めて、あの占いの館で会った時の、神秘的な美しい顔で口元引き結んで、うん、って一つ頷いて
TH「…俺が夢に見るほど好きになった子が、占った結果にちゃんとお礼が言えるいい子で…良かったよ」
寂しそうにも見える顔でそう言って、ふっと大人っぽく笑った。
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作者名：Fune55
| 作成日時：2023年10月9日 18時
