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テヒョンさんが覆ってくれてるから、空は上下に分断されちゃったけど、逆にエモいなってニヤニヤしながら言ったら、テヒョンさんは不意に、私のこめかみんとこに鼻を突っ込んできて。
『あ、こらイタズラしない…』
ってこそばゆさに、うっかり犬にするみたいに身を捩って笑ってしまった。
そしたら、その場所で思いの外低い声が、
TH「他の職業にはなれないよ。
俺は、ただ」
TH「好きになった子を、一生懸命慰めてるだけ」
うわあ。
耳の奥から溶けそうなくらい甘い声、優しい言葉。
私をいたわる気持ちしか、感じられない耳障りの良い柔らかな音。
痛いくらいに胸がときめくって、こういうこと。
悲しみに張り裂けそうとか、
切なさに痛むとか、
そんなんじゃなくて。
TH「Aが言ったけど。
ね？
『他人に好かれることって、怖いことばっか』
じゃないでしょ？」
抱き寄せられてる体温は夏の暑さもあってお互い汗ばむほどなのに、なぜか離れがたいのは。
テヒョンさんが私に優しくしたいだけなんだって、今はそれだけだって、ちゃんと伝わったから。
『これ全部意図的…？こわ、計算高すぎんでしょ…』
素直じゃない私がつっかかって返事を返したけど、腕の中から動かないが正直な私の答えなんだってテヒョンさんは絶対わかってる。
あー、こんな日の高い時間に。
海辺の階段で、寝っ転がって抱き合うなんて。
メロメロに弱ってないとできやしない。
テヒョンさんが、「喉乾いた！」って私ごと突然起き上がって、引っ張り上げて、背中の砂をバシバシ叩いて落とした後に、ごく自然に手を繋いで歩き出して。
私はもう抵抗するつもりも、テヒョンさんの好意を疑う気も無くて、ただされるがままに子供みたいに手を引かれて。
涙が出るのがなんでかわからないんだけど、私を振り返らないテヒョンさんの背中を見ながら結構泣いた。
TH「夢のAより泣き虫なの、面白いね」
くす、って笑った背中が、私の返事を期待するわけでもなく、ぽつぽつと言葉をこぼし始めた。
続く (更新停止中)
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作者名：Fune55
| 作成日時：2023年10月9日 18時
