98 ページ3
え？なんで？
目を見たら、なの？
普通逆じゃない？
てか、なかったことに、なるの？
今聞いた事実を記憶喪失するわけもないのに、そんなこと可能なわけ？
今の明らかすぎる愛の告白に、
返事をしなくても済むの？
YG「どうする？」
うながされて私は、
そりゃもうノータイムで軽率に顔を上げて、
真っ直ぐ目を見て、
『私を好きにならないで』
て。
懇願した。
驚いたユンギさんの目の中に、傷付いた色が走るのが見えたけど、構わなかった。
だってこの、抱きしめられてる腕があんまり居心地がいいから。
恋とか関係なく、まだそこにいて欲しいから。
不確かな未来より、
今のユンギさんとの関係の方が、
私にとっては大事だったから。
これ永遠に終わらない？って思いつつ眼力負けして目を細めてく私を、ユンギさんがふ、と笑って。
YG「…猫好きになると、猫の奴 隷になんだって、知ってる？」
って、愛しくて仕方ない目で私を見て、首を少し傾げた。
奴 隷に？
そんなの知らないよ。
困惑が顔に出てたのか、ユンギさんは今度こそ、しょうがないって諦観の強い苦笑で私を見ながら微笑むと、
YG「いいよ。
俺は好きにならない。
それがお前の、望みなら」
YG「全部叶える」
そう言って、ユンギさんは私をぱっと解放すると、にこっと笑って頭をぽんぽんして
YG「帰る時は声かけろよ。なかっとこになったんだから、気まずいとか無しだ。ちゃんと俺に送られろよ」
って、あっさりすぎるそのいつも通りに、
取り残された私の、
この、
すごく痛くて声も出ない胸は、
なんなの。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Fune55
| 作成日時：2023年10月9日 18時
