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TH「え?泣いてるの?A今どこなの?家?住所教えてくれたら迎えに行くから、デートしよ?」
泣いてる人にデートとは。
涙は止まらないけど思わず笑ってしまって、
『なんでデート?モテ期終わったのに、あなたまだ私が好きなの?』
って言ったら、キム・テヒョンは電話の向こうで起き上がる気配がして「ビデオ通話にしてよ」って言うから望み通りにしてあげた。
『ブスですけど、いいのかな』
TH「ブスは今はどうでもいいよ。俺だって寝起きだし」
いや、あなたは寝起きで十分お金取れるくらいの顔してますって。
TH「あのー、さっきの話たぶん誤解があるね。Aのモテ期はただ単に魅力が上がるだけの期間で、その間にAを好きになった事実はなくならないし…急に嫌いになるもんでもないんだけど?」
『へ…?え?いや、だって…職場の人たち…』
TH「気を使ったんじゃないの?Aが迷惑かもしれないって」
『えっ…いや、でも…』
TH「好きになった?その人たちのこと」
ずば、っと聞かれて、ナムジュンさんとユンギさんの顔が頭をよぎった。
好きになったか、って言われたら。
いい上司だし、いい友達でいたいって。
そう思う。
だけ。
『好きに、ならなかった』
ぽつ、っと答えた私の声が私の中で反響した。
『みんな、あんなに良くしてくれたのに…好きになることができなかったなんて、おかしいですよね?』
『好きになってくれたのに、好きになって上げらんないなんて。みんな、いい人でしたけど。でも、どうしてだろ…信じきれなかった』
『キム・テヒョン?ねえ、夢でしか私に会えなかったんだよね』
『そんなんで、私をまだ好きでいられるの、なんで?』
『私は、あなたの「好き」が信じられない』
うん、ほんとのこと言うと。
キム・テヒョンだけじゃなくて、
私を好きだという人たちの気持ち、全部。
信じることができなかった。
TH「信じられないのは、Aのせいじゃない」
画面の向こうで、はっきりそう言われてびっくりした。
TH「それ、呪いだから。あんま深く考えない方が良いよ」
呪いって。
重ねて言われた言葉が衝撃すぎて、涙が引っ込んでった。
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作者名:Fune55 | 作成日時:2023年10月9日 18時