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妹「お姉ちゃん、私もう大丈夫だから」
ラストまでのシフトで始発で帰ったら、珍しく早起きの妹が私を待ってて、藪から棒にそう言ってきた。
私は何の話かわからずに、とりあえず妹が座ってるダイニングの椅子の正面に腰掛けて、首を傾げる。
『大丈夫って…どこか体調でも悪かった？全然気付いてなかったんだけど…』
もし私の知らない間に風邪引いてたとかの報告だったら、ただひたすら申し訳ないのやつ、って思ってほっぺた掻いたら、「違う」って苦笑しながら手を振られた。
それから、パーカーの前ポケットから通帳を一通取り出して、私についっと差し出した。
妹「お姉ちゃんが、私のためにお金稼いでるの知ってたから。お姉ちゃんのお母さんにお願いしに行った。そしたらこの通帳くれて、私の学費今後ここから出していいって」
『…は？』
妹の話が、理解できない。
『私の？オンマに？』
ぽかんとして聞き返した私に、妹は頷きながら何かを思い出すように笑って、
妹「うん。全部話した。アボジのことも、私のことも、お姉ちゃんのことも。めちゃくちゃ怒られた」
『なんで』
妹「あ、怒られたのは…お姉ちゃんがかわいそうだって、そういう感じの。何やってんだって、すごい剣幕で…お姉ちゃんのお母さん、ほんとお姉ちゃん好きだよね。泣いてたよ？」
『いや、待って待って。私かわいそうじゃないって。酷くない？』
わけわかんない、って首を振ったら私以上に妹の方が、激しく首振って否定してきた。
妹「かわいそうだよ！いくら私が図々しくて計算高くて調子のいい人間でもさ！もう、見てらんないよ…。お姉ちゃんめっちゃ痩せたよ？わかってんの？何抱えてるか知らないけどさ、お姉ちゃん…限界でしょ？」
妹「せめて、私の分だけでも肩から降ろして」
妹「お姉ちゃん、もう自分のことだけ、考えて良いから」
妹「今まで、ほんとにありがとう」
何も話した覚えないのに、全部わかってるって顔してる泣き笑いの妹の顔は、私が思ったよりずっと大人の顔してた。
6歳も離れてんだよ。
ずっと、父が連れてきた時と同じ小さい妹だと思ってたのに。
知らない間に、大きくなってて。
私はそれに気付かないくらい、前だけ見て必死に走ってたんだって、今更気付かされた。
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作者名：Fune55
| 作成日時：2023年10月9日 18時
