アンドロメダ（quizknock）

１１（izawa）分かってる ページ13

西日があたたかい。

差し込む光に反射してあなたの右手薬指の指輪がキラキラと光っては、僕の心はずしりと痛む。



確か、彼女の彼氏は早稲田大学の高身長。
そしてとてつもないイケメン。




あ〜…勝ち目がない。

分かっているが、こうやって目で追って自分の中で何かを消化している、毎日。




ふと、目が合って僕はすぐに逸らすと足音が聞こえてきて



「伊沢くん、」


とニコニコしながら僕のもとへ歩いてくる。


頼むから、そうやって俺だけにその笑顔を向けるのをやめてくれ…苦しい。

そんでもって、持つべきでない期待を持ってしまうから、




「こんにちは、ななかさん。」


「こんにちは、伊沢くん。」


「今日もお綺麗で。」


「恐縮です。」




こーやって、冗談めかして彼女に気持ちを伝える僕はずるいのだろうか。



まぁ、どうであれ僕の言葉なんてななかさんの何にも刺さってないことはわかっているのだが…





「伊沢くん、前髪長いんじゃない？」


「そうですかね、なんか落ち着きます。」


「ふふっ、ほんと伊沢くん可愛い」





･･･かわいい、か。




「...そんなことないっすよ」


「かわいーの！」



そういいながらさり気無く隣に座って僕のノートを覗き込む彼女は本当に天然タラシだ。



長いまつ毛に、筆でなぞったような綺麗な二重のライン。




「ななかさんの彼氏のこと、聞きたいです。」



いや、別に自分を痛めつけるような性癖はないが
ななかさんの愛する男がどんなやつなのか知りたかったのだ。




「え、恥ずかしい笑」



少し顔を赤らめる彼女の様子を見て、“あぁ、ほんとに好きなんだな”って思い知らされる。




「教えてくださいよ。」


「じゃー伊沢くんの好きな女の子のことも教えて。」


「･･･誰得ですか、それ。」


「私」



しょうがなく僕が交換条件に頷くと、ニコーっと笑って話し始める。


まぁ、その内容は酷く僕の心を抉るのだか、


少しでもななかさんを自分のものに出来たように錯覚して、優越感に浸った。





「･･･めっちゃ好きっすね」




そーだねぇ、と幸せが溢れて逃げてしまいそうなくらいニヤニヤしてから、バシバシと僕の方を叩いて彼女は言う。



「はい！伊沢くんの教えて？？」



今ここで、ななかさんです。と言ったらあなたはどんな反応をしますか？



困った顔、見たくないから言わないけど…



後にも先にもこんなに好きなのはななかさんだけだと心の中でつくづく思う。

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