・理 ページ5
side河村
伊沢が切った…?いや、切られたよな。
向こうで何かあったんだ。無事であるといいが…
また電話をかけても繋がることは無かった。ラジオみたいなものなんだろう。少し移動しただけでノイズがはしるのは、チューニングが合わなくなるのと同じこと。これは先に進んだ方が良いのだろう…此処で待っていても、誰か来る気配は無い。
僕はカメラを回して元の場所に戻した。…否、ガムテの粘着力が無かったので下に置いた。いい感じの構図になっていると思います。
とりあえず走る。経路は伊沢のままなので、一本道を辿れば合流できるはず。この時の僕は、まだこの世の理がこの世界にもかなっていると思っている。
人影が見えた。
「伊沢!」
大声で呼ぶ。あれ…背が高い?
荒れた息を整わせながら人影の方を向いた。
「__河村!?えっちょっと待って何でここに居んの!?」
「は、何で須貝さん?」
おかしい、伊沢の道であっていたのに。それに…
「…ってかさぁ」「…それにさぁ」
『なんで向こう(側)から来てんの!?』
声が重なった。お互い訳がわからないという顔をしている。
「一本道なんだよね?」
「一本道だよ」
もはや時空が歪んでいるようだ。
「んで、なんで河村は撮影中ここに?」
…須貝さんは、まだ気付いていないようだった。
「気づいてなかったんですか?此処の異変に」
僕がそう言うと須貝さんは眉間にしわを寄せた。
「…異変?」
「はい、まず僕は伊沢の順路に沿って歩いて来ました」
「伊沢の順路って何…」
しまった、そこからだった。
作者から
【鬼屋は誘う】と【暗夜は続く】完結しました。ありがとう!!
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作者名:MOKKA | 作成日時:2023年11月22日 21時