・許容 ページ31
side福良
僕は見事、御札を掴んだ。
「山本！ どこに貼ろう！？」
登っていたイスから降り、山本へ駆け寄った。
「扉…か、元凶の物ですかね」
「だよね」
この突風の元凶となる物。本棚か…
「あの台が怪しい」
突風は台が光ってから起きたことだからね。
「ですよね、貼りますか」
持っている御札を台にのせると、吸い付くようにくっついて、取れなくなった。
声が聞こえない程に荒れていた突風は、だんだんと弱くなり静まった。同時に宙を舞い、散々僕を邪魔してきた本も落ちた。
「はぁ〜、やっと風止んだ〜」
張り詰めていたものが無くなり、ため息が出てしまう。
「ちょっと怖かった〜」
山本も疲れて、しゃがみ込んでいる。
少し休んでいこう、と僕らは床に座った。
「ねぇ、山本。なんで急にさ、脱出に必死になったの？」
「え。だってあれはヤバいじゃないですか。」
あれってなんだろう…なんて考えていると、山本が口を開いた。
「…紙が切れたって言ったじゃないですか。当たったらひとたまりもない、って言ったじゃないですか！」
「そうだけどさ！」
「危機感を持って下さいよ？ この部屋は、僕達を殺しにきてるんですから」
「そう…？」
「伊沢さんの頭痛とか。それに…」
山本は、『それに』と言うと止まった。
「…何でもないです」
「いや気になるんだけど」
「でも、河村さんは言わないようにしてたし…」
そういえば、河村もなにか言って、続きは無かった。忘れてた。
「余計、気になるよ」
「…福良さんは殺されかけてたんですよ」
「あぁ、そんなことか」
「そんな事って！」
「山本とか伊沢とかが、そうなるよりはマシ」
山本は困惑した顔のままでいた。
「まぁ、そうかもしれませんけどね」
そこ肯定するんだ。
そうして休憩をした後、また次の部屋へ進んだ。
作者から
【鬼屋は誘う】と【暗夜は続く】完結しました。ありがとう！！
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作者名：MOKKA | 作成日時：2023年11月22日 21時
