【QK】丑三ミステリー (ページ30)

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・ダモクレスの剣ページ30

side福良

風を止めるためには、まずは御札を取らないと。宙を舞う本に当たりながら、手を伸ばす。
「取れない！」
「福良さん諦めるの早すぎ！」
体力が持たない僕は、十数分で座り込んだ。上の方にいるのが良くない。
「生きてんのかなぁ」
「やめて下さいよ、言霊」
「それはフラグ」
僕の呟きに山本が反応した。聞こえるとは思っていなかった。そのせいで立ったら嫌なフラグが立った気がする。

「あれ？なんか光った？」
僕の呟きが聞こえる程、近くに居なければ聞き逃していただろう。山本の溢れた声に振り向くと、冷たく鋭い風が通った。
ぱら…と、紙切れが飛んでくる。

「えっ…」
「山本…？」
驚愕と恐怖と理解不能…といったような表情をしていた。
「何があった？」
「今の風、紙を、切りましたよね…？」
切った？さっきの冷たい風が？

「早くここを出よう！もし、僕らに当たったら…ひとたまりもありませんよ！」
山本が必死に言うので、僕はまた腕を伸ばす羽目になった。
いや、早く出たいのは僕も同じなんだけど、そんなRTAみたいに急ぐものなの？

頭にクエスチョンマークを浮かべながら、明日の筋肉痛は確定した。