・† ex machina † ページ29
side福良
すると、ガコンッと木の動く音と、擦れる金属の音がした。僕の目の前にあった本棚はレールの上を正確に移動し、他の機械仕掛けの本棚と円を作っていく。
「す、すごい…!
福良さん、この部屋は全部機械仕掛けですよ!」
円の中心には黒い台が出てきた。その台は、水色の石であしらわれていて、不気味な程に綺麗なものだった。
中心から光が弾けた。
それに呼応するように、窓、照明、絵画などが揺れる。
「あ、窓が開いてる…」
スチームパンクな窓が開き、突風が部屋に入ってきた。しまい忘れた本の山は突風で崩れ、ばらばらとページが捲れる音を立てながら宙を舞った。
「風つよすぎ…」
「立ってられないですね…!」
この状況をどうしろというのだ。窓を閉めたいが、強風のため前に立つことすら難しい。
…あの木の本を、もう一度引っ張ってみるか?
「福良さん! あれ!」
「ん、どれ!?」
「左から三つ目の窓の上…って、ああ゛〜」
「なに!?聞こえない!!」
「御札があったんですよ! もちろん、同じデザインの!」
ここにも在るのか…!
「…取れれば、この風を止められるかな!?」
「できそう…っわあー!」
今度は何だ!
声の方をすぐさま振り向くと、山本の顔に本がべったりとくっついていた。重力に従って、直ぐ落ちちゃったけど。
「__はやく、この風止めましょうか」
…イラついた声に聞こえたのは、僕だけかな。
作者から
【鬼屋は誘う】と【暗夜は続く】完結しました。ありがとう!!
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作者名:MOKKA | 作成日時:2023年11月22日 21時