・絡繰の図書館 ページ28
side福良
普通に開いた扉を通り、次の部屋へ向かう。
「さっきのは、御札を貼ったら除霊できたって、ことですよね？」
「そうだよねぇ。やっぱり避けたし、消えたし」
足元を見る。絨毯が水色だ。内装は書庫の様になっており、沢山の本が置いてあった。
でも全部、文字化けしている。
「凄いね…内容は全く分からないや」
「参考書、分厚い小説から絵本まで…種類もすごいですね」
こんな大量に本があっても読み切れないよなぁ、と思いつつ探索開始した。
本棚は機械仕掛けのものが混じっており、動かせる本棚がある。…レールがあるから気付いただけで、動かし方はわからない。
そのとき僕の視界の端に、違和感のある本が映った。触ってみると、硬い木でできている。
瞬時にこれが、本棚を動かすボタンだとわかった。
＿お、押して…みるか…？
いや、いやいや…
爆発したらどうする……じゃ、なくて！
「山本ー！！」
「はーい？」
また変なことになったらどうしよう、という自分の考えが、ボタンを押すのを躊躇ってしまった。そんなときは、山本に頼ろう。
「ボタンっぽいの見つけた」
「わ！…確かに、木でできてる」
いいリアクションをするよなぁ。動画で鍛えられたんだろうか。…なんて、動画で鍛えさせた(ぼぼ)張本人が言ってる場合じゃない。
「お、押してみる…？」
「押してみますかぁ！」
二人の『せーのっ』という掛け声を合図に、力いっぱい木の本を押した。
____しかし、何も起こらなかった。
「…何も起きないね」
「何かが違ったんですよ！__ったぶん！」
微動だにしなかった木の本に、別のやり方をする。
「…押して駄目なら、引いてみろってことで」
「引くんですか？」
「本を取り出すときって、そうじゃん？」
「まぁ、そうか…」
納得してくれた山本をおいて、本を掴む。
「いくよっ！」
今度は力一杯、引いてみる。
動いた木の本はカチッと音を立てた。
上手くいった。起動した…かな…？
作者から
【鬼屋は誘う】と【暗夜は続く】完結しました。ありがとう！！
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作者名：MOKKA | 作成日時：2023年11月22日 21時
