・ただいま ページ24
side河村
気付くと僕は倒れていた。
いや、もともと倒れているのか。
僕は目を覚ましただけだ…
左を向くと、同じように福良が起き始めたところだった。立ち上がって近づく。
「福良、調子はどう…？」
「ん…生きてて良かった」
ホントだよ。…とは冗談でなくても言えなかった。
「ここ、たぶん現世。確認しに行こう」
「そうだね、あの子も置いてきちゃったし」
そのとき後ろから声がした。
「あー！！河村！福良！」
ぶんぶんと手を振った伊沢が、こちらに駆けてくる。
「出るぞ！」
本当の出入り口にむかった。向こう側が見えていて、先に山本と須貝さんが出ていたようだ。
「山本ー！」
「須貝さん！」
山本と福良はカメラの前で抱き合った。
喜びを噛み締めていると、福良が口を開いた。
「まだ、2時間しか経ってないんだ」
体感4時間だけどな…と思っていたのは僕だけでは無いらしく、あそこは時空が歪んでいたという話に落ち着いた。
「…無事に帰ってこれて、良かっ____」
僕はその時思い出した。
「…良くないねぇ」
「うーん…良くはない」
「むしろダメだろ…」
「もしかしてヤバい…？」
なんで、こうちゃんだけ居ない？
「…まだ出てきてないのかな…？」
「__何処から？」
「それは……お化け屋敷から」
全員が黙り込んだ。
「中で迷ってたり、あるかもよ？」
「僕みたいにさ」
「いや、福良みたいに迷うことは無い」
福良のボケも、ぎこちなくしか拾えなかった。
「俺、見てくる」
「あっ！おい！」
急に行動する伊沢を止めようとしたが、脚力で勝てるわけがなかった。
距離が開いた。
作者から
【鬼屋は誘う】と【暗夜は続く】完結しました。ありがとう！！
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作者名：MOKKA | 作成日時：2023年11月22日 21時
