【QK】丑三ミステリー (ページ20)

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・__失敗ー！ページ20

side福良

「あ、河村！なんで、そん中にいるの……」
「あの扉開けた先の、先？今、2個目の部屋なんだけど…」
意味がわからない。というか知らない。
「__あの扉って何……？」
「え？」
「お前が、ドアノブに手をかけちゃって…それで…」
そんな記憶は僕には無いぞ…
「…僕、気づいたら此処のソファに居たんだけど」
僕ら2人とも、目が開きすぎて怖い顔をしていたと思う。

「山本とお化け屋敷内で合流して、それでこの水族館に…来たって…」
山本に会ってなんていない。
「みんなが全く帰って来ないから、見に行って…」
「それじゃあ、福良が……2人に…」
「お化け屋敷に入って、倒れた河村を見て…そこから水族館に居て…って、僕が2人！？」
「じゃないと、辻褄が合わない」
「__山本が、福良と会った時点で既に…？」
「既に…違う、福良になってる…」
「お前は、福良拳だよな？」
河村の声は震えていた。
「うん。僕は福良拳。手元には、証拠がある」
そう言って僕はスマホを見せた。
「そうだな。…ところで福良、この迷路解いてくんない？」
この迷路、簡単だけど…？
でも、入ってみたら分かんないんだろうな…と思った。

河村が扉のある空間まで出た。僕の方を見る。
「ありがとう。お前がいなかったら僕は迷子だった」
「こちらこそ、僕がそっちだったらヤバかった」
「それはそう」
もし、僕がこの迷路に入ったら…たぶん帰ってこれない。
「恩返ししないとね。…偽ふくらPをあばこう」

河村の眉が吊り上がった時、微かな異臭がした。
「ありがと、任せたよ。…あ、ごめん河村」
「え、何____」
距離はまだある。
「僕今、スライムみたいなのに追われてるの。来たから逃げなきゃ」
えへ、と普段出さないような声が漏れた。河村が険しい顔をする。
「_逃げろっ！！後ろに居る！！」

まさか後ろにドロドロがいたとは。
僕は必死で駆け抜けた。また道を確認しないで。
(…確認しても意味ないと思うけど)
そう、だから僕は逃げた先がさっきの道で、まだドロドロが居るなんて思わなかった。
さすがに捕まる前に、居ることに気づいて後退りしたが

後ろからあの異臭がする。

「っなんで！？」
二匹…いや、もっといたのかもしれない。いつの間にか挟み討ちにされていた。
足掻いても全くドロドロは離れず、咄嗟に見た河村の水槽には誰も居なくて安心した。その隙を逃さなかったドロドロはついに僕を飲み込んだ。

でも良かった、こんなところ河村に見られなくて。