【QK】丑三ミステリー (ページ19)

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・SAN値チェック____ ページ19

side福良

気づくと、僕は椅子に座って壁を背もたれに寝ていた。

目が覚める。
「…あ、れ…？」
目の前に見えるのは水槽。青いライトが点いてて、とても水族館みたいな雰囲気なのに。
「…何もいない」
魚、貝さえいない。
岩や水草だけはあって、とても寂しい水槽だ。

立ち上がって、他に生き物が居ないか確認しに行った。一つずつ水槽と説明の札を見て周る。

［鮃］

「ヒラメ、ねぇ…」
名札を読んだその時。
水槽の中に、ヒラメが泳いでいた。
「あっ？さっきまで居なかったよね…？」
凄い発見をした気分だった。この水族館ではやる事が無いし、魚一匹も居ないとなると独りぼっちが寂しくて寂しくて…
とにかく、僕は一歩前進した気になった。

そして、目に映る全ての名前を読んでいった。
全部読めば、何か変わるかもしれないと思ったから。歩いていると、何か引きずるような音がした。ずりずりと僕に近づいてくる？
振り向いた後ろには、スライムみたいな生物がいた。スライムと一口に言っても、ドラクエのような可愛いやつじゃなくて…

目も口も付いてないドロドロ。…そいつから腐敗した肉の異臭がした瞬間、走り出していた。

僕は逃げる。するとアイツは追ってきた。
幸い、ドロドロの足は遅かった。
見えない所まで逃げなきゃ__そう考えた僕は、道なんか忘れて走った。随分と奥まで来た時にようやく気づく。
「迷った…」
もう、スタートに戻れないかもしれない。
八つ当たりのように、名前を読んでいった。

読んでいると、小さめの水槽が見えた。カエルのサイズ感だなと札を見ると、
「河村っ！？」
［河村拓哉］と書かれている。
…これは、読むとどうなるんだ？おそるおそる、名前を言った。
「河村、拓哉……」
迷路の中に、河村が現れた。
その河村はとても小さく、口が動いている。何か言っているんだろうか____
「河村…っこれ！何で…！？」
気づいたら口から漏れていた、震えた声。

SAN値チェック、失敗。
受けたショックはファンブル並み。

スマホを取り出し、河村拓哉を押した。