【QK】丑三ミステリー (ページ15)

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・2人の福良ページ15

side河村

「本当に全員かな」

みんなの視線が僕に集まる。そこの福良も驚いた顔をして、怒りが溢れた。
そいつを睨んで言った。
「おまえ、福良をどうするつもりだよ」
悲しい顔をするそいつに、もっと苛立つ。そんな顔していいのは被害者の方だよ。
「お前は福良拳じゃない…！！」

みんな静まった。こうちゃんは口を開けたまま、僕とアイツを交互に見ている。
「…河村…？
　__僕は福良だよ…？」

信じてよ、河村…
僕の名前が呼ばれる度に嫌悪感が走った。

「__あぁ…そうだな…お前はふくらPだよ」
自分でも言ってる意味がわからない。しかし、そのまま怒りに任せて、叫んだ。
「ただ、偏見まみれのどこぞの誰かから見たような、ふくらPだ！」
右手で電話をかけた。もちろん、福良にむけて。

「電話に出ろよ」
…
「無いわけねぇだろ」
……
「お前が福良なら」
………

どうする。もし、本当にアイツと繋がったら。
福良以外が息をのんだ。

「あははっ」
アイツは気色悪い笑顔をしながら言った。
「じゃあ、なんで本物は電話にでないのかなぁ？」

確かに、繋がらない__

なんで…

「答えは…負けちゃったからー」
アイツは巨大水槽の前まで歩いて、くるりと振り返った。
その瞬間。
重いものが水に入る音がした。
「福良さん！」
山本の視線を辿る。
その先には巨大水槽を沈んでいく福良の姿があった。
「お前っ！！」
僕の握り拳がアイツに襲い掛かろうとした寸前。

「５分。
　５分後、福良の仮死状態がとける。
　それまでに助けてあげてね」

すると、アイツの姿が消えた。瞬間移動のように、消え去った。行く当てが無くなった握り拳は、水槽に叩きつけた。

「…河村」
「なに」
「福良を助けるぞ」
伊沢の眉間には皺が刻まれていた。