・6人の共犯者 ページ11
side河村
僕だってクイズプレイヤーである。誕生石も覚えている…いや、覚えていた…
「しまったなぁ。七月からが思い出せん」
あまり復習もしていなかったので、忘れていた。
メモしていこうか。宝石の山から黒い石を取り出して、文字を書いてみる。岩の床で削れ、見事に線が引けた。条痕は黒褐色。
こいつを使い、覚えているものも含めて書き出した。
「一月、ガーネット。二月、アメジスト。三月…アクアマリン。四月ダイヤモンド。五月、エメラルド。六月、パール(とムーンストーン)…」
六月まで書き終わった。本番はこれから。
「七月………八月………九月…サファイア。十月…トルマリン。十一月………十二月…ターコイズ」
覚えていないのは3つ。…そして他が合っているとも限らない。
「ヒントとか無いかな〜」
その願いは虚しく部屋に響いた。ちょっと反響した声も現実の闇に吸い込まれていった。今日の様々な出来事を思い出し、疲れがどっと押し寄せてついに寝転がる。
「思い出せないものはなぁー、思い出せないんだよな〜。ヒントもないしさぁ…」
…
……ヒントは無い?
本当に?本当にそうか!?
僕が弱音を吐いていると、再稼働し始めた頭が閃いた!
紅い弟は青い兄を食べた、って何だよ!!!!!
謎解きだ。たぶん。これは答えのヒントになる謎解きだ!
食べた、とは何だろう。eat…ではなくて、ate。
その単語を反芻する。ate、エイト、eight…
不意に、こんな話を思い出した。
『ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト、ナイン、テン。……これで、[1、2、3、4、5、6、7は、9、10を食べた]になる』と。
食べた、を八月とすると、青い兄はサファイアということで納得がいく。
「じゃあ、紅い弟はルビー…」
どちらもコランダムという鉱石で、赤い宝石質の物をルビー。それ以外をサファイアと呼ぶ。兄弟としているのにも納得。
「だから七月がルビーで、後は八月と十一月…」
考えていても分からなかったので、先に山から宝石を取り出すことにした。
赤いやつ、紫のやつ、水色のやつ、透明なラウンド・ブリリアント・カットなやつ、緑のやつ…
宝石なんてどれも似たり寄ったりなので違うかもしれないが、それっぽいやつを取り出した。
作者から
【鬼屋は誘う】と【暗夜は続く】完結しました。ありがとう!!
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作者名:MOKKA | 作成日時:2023年11月22日 21時