【QK】夕焼ミステリー (ページ22)

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13日目ページ22

by須貝

「…福良。今時間いい？」
明るい会議室から1人出てくると、その部屋は暗くなった。出てきたばかりの福良を捕まえる。
「え？いいけど…ごめん手短に」
「そうかぁ、ああ伊沢の事なんだけど」
福良は頷いて「わかってた」と呟いた。
「どうした？須貝さんからは珍しいね」
「…伊沢に変化があった。一言で言えば“動揺”。そして本人はそれを隠している」
福良は目を丸くした。それから抱えた書類に目を落として
「後で話そう」
と言った。
「うん。俺はデスクに戻ります」

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「それで、伊沢の変化は一言で言わなければどんな感じ？」
数十分後。タスクをひと段落終えたであろう福良さんに小声で聞かれた。
「なんつーか、まず雰囲気が変わった。やっぱり怖がってるよ」
「そう…なの？」
福良は『怖がっている』が腑に落ちないようだが、話を聞いてくれた。
「その前に伊沢んとこ行ったのが9日で…昨日は12日。二日間見てない内に何があった？何を言われた？何をされた？」
少々ヒートアップしたようで、福良さんに「静かに～…」と言われてしまった。
「ごめん」
「うん、声でかかったね。でもそうかぁ～須貝さん」
…？
何がそうかぁ～なのだろう。俺がぽかんとしていると福良さんが口を開けた。
「…知りたいんだ？」

「…ぁぁそういうこと。
　そりゃ、知りたいやんか」

“知りたい”てことは、聞けってか。いや福良さんは俺に聞いてんのか…伊沢に言うのか言わないのか。あの人なりに「どうするの？」って聞いてきたんだ。わかりにくいけど。

「決心できた？前に続けたいと言っていたけど…」
伊沢を傷つけるようなことはしたくない。しかし尋ねれば傷心の道を免れない。
それでも知りたい、なーんて言えないね。
「うん。福良さんに背中押されたな」
自分がここまで知識欲で動いているとは知らなかった。
「友人のことはできるだけ、知ってやりたいよな」
「先に行ってて。僕はまだ勇気が無いのと、仕事が終わってないのと…やる事あるから」
そう言って福良さんは会議へむかった。
俺はというと清々しい気分に調子に乗って、窓を開けた。

外は雨上がりの青空が広がっていた。