【QK】夕焼ミステリー (ページ16)

今日:3 hit、昨日:31 hit、合計:6,443 hit

8日目ページ16

by須貝

福良から言われたあの言葉が、まだまだ深い所に突き刺さって抜けない。今日は仕事が少ない日なので、伊沢のとこにでも行こうとしていたが会わせる顔がない。
そしてただ単に二日酔いでもある…。
「頭痛え…」
普段大量には飲まないようにしているのに、しかも次の日は普通に仕事があるのに。昨日は本当に飲み過ぎた。なんとか撮影を終えたものの、残りが手につかない。
「えっ…と須貝さん大丈夫ですか？」
こうちゃんにも心配される始末。
「ごめん、俺のせいなんだけど全然大丈夫じゃない」
「どうします？帰りますか？」
二日酔いでそう簡単に休んでしまうのは気が引ける。

「風邪？」
すると帰ってきた河村が尋ねた。
「ちゃう…二日酔いです…」
自分が情け無さすぎて顔も上げられん。
「あぁ珍しいね。残り少ないなら明日に回して休めば？無理して悪化したら困るし」
こうちゃんが頷いているのが見えた。
抵抗する気力も無くなった俺はこうちゃんにされるがままになっていた。荷物をまとめられ、PCの電源を切られ、俺の家まで歩けないので仮眠室に放り込まれる。うつ伏せのまま。

__福良さんが入ってくる。福良さんを見上げた。
「大丈夫じゃなさそうだね、水置いとくから」
すると目が真剣になる。

「聞けそう？」

なんとなく、今の自分に重くのしかかる言葉だった。
「…聞けへん」
「続ける？」
「続けたい」
短く雑な会話には自分の決心があった。
「僕も…聞けない」
そうして福良さんは仮眠室を去っていった。
これは続けたいんじゃない、逃げたいだけである。だから福良さんは僕も続けたいではなく“聞けない”にしたんだ。やはり情け無い。

大丈夫、退院後に聞ける。