【QK】夕焼ミステリー (ページ13)

今日:10 hit、昨日:6 hit、合計:6,419 hit

傷つけないパラドックスページ13

by須貝

この会議(飲み会)が始まって2時間くらい経ったころ。俺はついに福良と話したいと思っていたことを口にした。
「…ふくらさんさぁ」
「どーした？」
「…いや、伊沢に聞いた方が早いのかなって思って」
福良は目を丸くした。ここまで話して何言ってんだコイツって思われてそうだ。
「それは…」
__肯定しないで。福良の意見を聞かせてほしい。
その後、福良は特に何も言わなかった。
「おれはさ、伊沢に聞いてみたいんやけど、聞けへんの。いろいろ考えちゃって…ふくらさんは？」

同じでしょ…？そう続けた。
俺と福良が伊沢を調査し始めたときだ。俺は福良さんなら直接伊沢に聞くんじゃないかと思っていたのだ。しかし福良さんは俺と同じような行動をとった。何故そうしたかと言ったら、俺にはこれしか思いつかない。

…福良は聞きたくなかったのだ。あいつのことを考えて、あいつの為に聞かなかったのだ。

「そうだよ…。聞けなかった。須貝さんの言ったとおり、伊沢に聞くのが早いに決まっている。それでも…」

それでも“俺たち”は『もしも伊沢が傷付いたら』だけを考えた。だから観察し続けた。どちらが傷つくだろうね。真実を聞かれるほうか、真実を友人に探られるほうか。

福良さんの零した言葉は深く突き刺さった。
何も言えなかった。
聞く勇気は無いし、
続ける勇気も失われつつある。

「…それでも知りたい」
俺が言うと福良は苦笑した。
それから、今までの話が無かったかのように、2人で次のお酒を飲み干した。不安と思考は全て胃に流し込んでいた…

___________________(観察日記)

オフの日を満喫しながら呑むはずやったのに、気持ちが暗くなってしまった。退院してからきくことになりました。伊沢は退院してから1週間は必ず休みだそうです。そのうちに事をすませるらしい。
眠いから寝る。