【QK】夕焼ミステリー (ページ11)

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6日目ページ11

by須貝

今日は伊沢の所に行ける。そう思って病院のエレベーターに乗った。扉が開き、172の方へ行くと山本が見えた。早歩きして山本に近づく。
「山本！」
「わ！須貝さんかぁ…びっくりしたー」
「山本もこれから？」
病室を指さして尋ねた。
「そうなんですよ。…そろそろ一人で行けるようにと」
山本が苦笑する。なんか泣くから1人じゃ行けない、みたいなの河村さんに聞いたな。
「そっか、頑張ったじゃん」

2人で病室に入った。
伊沢はもう起きてるようで、リハビリ終わったんだーと自慢げに言った。
「あの足動かすやつ？」
「まあそういう事」
たわいもない会話が一区切りつくと、いきなり伊沢が俺の名前を呼んだ。
「そうだ須貝さん。俺あのゼリー全部食べたから！！」
偉いでしょ！と叫んだ。
「いや俺は作ってへんのやけど」
「あ、あのほぼゼラチンのやつですか？」
山本が尋ねた。食紅だし“ほぼ”じゃなくてゼラチンその物だよ。
「山本知ってんの？」
「あー…騙されて食べました」
あの時の乾みたいに、ニッコニコの問ちゃんに押し付けられたのだとか。なるほど断れん。だからもともとは15個作ってあったらしい。
「こうちゃんが二つ食べさせられていましたね。そして俺で一つで…」

その間。
伊沢の動きが止まった。正確には、一点を見つめてぼおっとしている。山本は気付いていないのか、話しが続いている。…観察開始である。目は何も捉えていないようだが、目線は微かに動いている。さっきまで叫んでいた奴には見えない。

…その後は特に何も起きず、伊沢も気にしていないようだった。しかし情報がつかめてよかったぞ。福良さんとの会議は明日だからな…

____________________(観察日記)
伊沢の目線の先には何も見えなかった。しかし動いているのか、目は微かに動いていた。あ、身体に異常は無いらしいので退院が早いかもだって。よかったわ。