白月

紀尾井町___ ページ25

あータバコ吸いてーと思いながら控室に戻ると、すぐにコメント撮りが始まった。


「「こんばんは、King Gnu でぇ〜す」」

「えー、このたび King Gnu 初のアジアツアーが決まりましたー」
「「「お〜、拍手〜」」」
「えー台北からスタートしまして、香港、北京、上海と4都市まわらせていただきまっす」
「えっ、理さぁ、何語で MC すんの? 中国語？」
「さぁ〜、中国語で4ヶ所ともイケんのかな？挨拶ぐらいはねー、したいよね。まぁ, ほぼほぼ日本語でしょ(笑) どうですか、大希、意気込みの方は？」

「えー、そうですね、盛り上がってね、ファイナルの上海はブチ上がりたいと思いますので、ぜひぜひ見に来て下さぁ〜い！」

「「以上、King Gnu でしたぁ〜」」


終わるとすぐに

「今日の大希のコメント、棒読み感なかったよね」
「いつもより、なんか気持ち入ってるぽかった」

とメンバーからつっこまれた。

「あたりめーよ。気合いが違うわ」

とかわしながら、待ってろよ、A、俺の音で会場中 熱くしてやる、どんな広いアリーナでも、Aの匂いで見つけ出してやっからな。だって俺はレトリバーの素質があるんだろ、なぁアラタ、大丈夫だよな、とか思いだして、笑いがこみ上げてきた。

上海公演の時は、ホテル オークラ取れねーかスタッフに聞いてみっか、とニヤつきながら控室に戻った。

帰り際にホテルを見上げながら、あー、この中のどっかにAいるんだよなー、庭で1曲弾いたらA出てきてくんねぇかなー、と思いながら事務所に帰ってきた。

でかい庭だったから、アンプいくつ積んだらAの部屋まで聞こえんのかなー、でもホテル出禁になるかなぁ、なんて考えつつ、スタジオの電気をつけた。

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