絶対女王【オリジナル】 (ページ3)

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2018年、春。
三年生になった私は、県内で底辺の花咲学園に転校した。
まずは職員室に行くのだが、途中の廊下である人物とすれ違った。
その人は、スカートは短く髪はくるくると巻かれていて、まるでファッション雑誌から出てきたような風貌に、思わず振り返った。

このときは思いもしなかった。

あの人が、まさかあんな人物だったなんて────。

今日は始業式のため、先生と挨拶を交わした私は、体育館は向かった。
体育館にいくと、他のクラスは整列していたのにとあるクラスの列だけはまばらになっていたのをみて不思議に思って先生に訊いた。

「あの、先生。なんであのクラスだけ、列がまばらなんですか？」

すると、思いがけない応えが返ってきた。

「あー。大丈夫だ。気にするな」
「え？あ、はい」

気にするな？どういうこと？
なんであのクラスだけ許されているの？
疑問にしか思わなかったが、これ以上きけなかった。
それよりも、目を疑った光景が一つ。
先ほどすれ違った人が、まばらになっているクラスの一人だったのだ。
驚きはしたが、やはり聞けなかった。

始業式が始まり、転校生の紹介に入った。

「転校生を紹介します。本日、３－Ａに編入いたします。春奈サキさん」
「はい」

先生に紹介され、緊張で階段を一段あがる度に、足が震えていた。

「森川高校から来ました、春奈サキです。宜しくお願いします」

声が震え気味になってしまった。
大丈夫かな？ちゃんと聞こえたかな？
礼をしているとき、全校生徒からの拍手が盛大に聞こえてきて
これからの学校生活が楽しみになってきた。

「春奈が編入するＡ組は、実は、スクールカーストと呼ばれるものがあるんだが……」

始業式が終わったあと、教室へ向かう廊下で担任の先生が突如口を開いた。

「スクールカースト？」

具体的にいうと、クラスメイトが順位付けされていて、一軍、二軍、三軍の三つの軍に分けられる。
一軍は、なんでも許されて自由に楽しく過ごせる。
二軍は、教室や廊下で騒ぐことは許されないが、大人しくしていれば大丈夫。
だが、一番最悪なのは三軍である。
三軍は、勿論教室で騒ぐことは許されないが、廊下で騒ぐのも許されない。
常に空気を読みながら学校生活を送らなければならない。
先生から説明を受け、緊張とは裏腹に不安と恐怖が押し寄せてきた。