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日常 ページ8




簡単に表現すれば
千広が立っているのはそのど真ん中


前も後ろも右も左も取り囲まれた
完璧な海の絨毯


波は穏やかで、日差しは強く
時々飛び去ってゆく海鳥らしき影が
ぽっかり浮かんだ雲の合間を
気持ち良さそうに泳いでいた


そんな、海原の上にいる大型タンカーの甲板で


秘書「はあ・・・
今回の案件は疲れました・・・」


秘書が大きな溜め息を溢していた


千「せやな」


同意しつつ、数時間前に
ようやく完了した商談について思い出す


かなりの大型案件だったのだが
動く額が大きい分
先方は慎重に慎重を重ねてきた


担当者もそんな相手に
粘り強く頑張ってくれたのだが
それはやがて歪みと捻れを伴った


結局、現場レベルでは
埒が明かないということになり
事態の早期収拾を図るために
お互いのトップ会談で
一気に決着を目指すことになった


千「でも
あっさり商談は成立したんやから
よかった」


そう、数ヵ月に及ぶ混迷を極めた商談は
たった一時間で決着がついてしまった


組織同士の交渉なんて
意外とそんなものだ


散々に話し合った事項が
『これじゃ駄目やり直し』
で一蹴されることもあれば

揉めに揉めた項目が
『そんなのいいから先進めて』
で流されることもある


今回は大バとルに発展すると予測し
臨戦態勢を整えていた秘書は
あまりの呆気なさに
肩透かし食らったような表情で脱力していた




2→←オリオン財閥



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作品ジャンル:恋愛
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作者名:岩ちゃん | 作成日時:2016年12月13日 17時

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