第5話 ページ7
「それは……俺っち……Aちゃんの事が好きだから！」
「は？なんで私のことが好きだと浮気するの！？信じてたのに！！……もういい……帰って。」
「…………あ、明後日！24日駅前の広場に22時に来て欲しいっす！来てくれるまでずっと待ってるっすから！…………今日のところは帰るっすね…」
24日。クリスマスイブ。今更何をしようというのだろうか。今更私の機嫌をとってなかったことにしようとでもしているのだろうか。
翌日は何をする気にもなれず、一日家でぼーっとしていた。4回ほど着信があったけど無視した。
そして約束の24日。結論はまだ出ていない。
………行かなくていいかな……きっと私が行かなくても私以外のあの子と楽しむよね…
〜〜〜♪
着信音。メロディはJust For Myself。太一からだ。今の時間は22時ちょうど。このまま待たせるのは悪いかな……仕方ない電話には出てあげよう。
「もしもし…」
「もしもしっす！Aちゃん、約束通り俺っちずっと待ってるんで、気が向いたらでいいから来て欲しいっす。」
「…………なんで、あの子はどうするの？…私なんかと会ったらあの子、悲しむんじゃないの？」
「だから、あの人とはほんとに何もないんっす！とりあえず来て欲しいっす。きちんと全部説明するっすから」
「………少し待ってて」
私は駅まで思い足を動かしながら向かった。
あの子の正体となんで一緒にいたかだけ聞いたら帰るつもりだった。
「Aちゃん！こっちっす！あぁ、来てくれたんすね！ありがとうっす！」
「そっちが来てって言ったから……」
「あはは、でもほんとに来てくれるとは思わなくて……」
「それで、あの子はだれなの？」
「あの人は、俺っちが所属する劇団の監督先生っすよー！」
かんとく…カントク……簡徳………寛徳………監督！？
「か、監督さん！？」
「そうっすよー。クリスマスイブにはAちゃんをデートに誘おうと思ってどんなところに行ったら女の子は喜ぶのか監督と予行練習してたんすよー！」
「そ、そうだったの……ならもっと早く言ってくれれば良かったのに…」
「言おうとしたのにAちゃん、聞く耳持ってくれなかったじゃないっすかー」
そうだ。太一は私のために動いてくれていたのに…勝手に疑い勝手に塞ぎ込み……すべて私のせいだ…
「ごめん……太一…」
「いや、まぁ、嫉妬してるAちゃんも可愛かったからいいっすけどねー」
彼は小動物のような笑顔でそういうのだった。
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作者名：圭 | 作成日時：2018年1月20日 1時
