QuizKnock大学の姫 (ページ11)

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痛みの取り方ページ11

海での撮影も終わり、私たちはホテルへ向かっていた。私は山本さんと話しながら歩いていた。
「あれ、Aちゃん、血が出てるよ」
　山本さんが私の右手を取り、心配そうにそう言った。
　ちょ、当たり前のようにそういうことをしないでください、山本さん・・・。

　私は少し顔を赤らめながら、自分の手の甲を見た。
「あー、ホントだ・・・」
　私の手の甲には、1.5センチほどの傷がついていた。血が少し滲んでいる。
「岩に擦っちゃったのかな・・・」
　私はそうつぶやき、傷を見る。傷がついていると自覚したとたん、じわじわと痛みを感じてきた。

山本「大丈夫？」
(名字)「ちょっと痛いかもです」
　私は傷口に息を吹きかける。
「じゃあ僕が痛みを止めてあげる」
　山本さんが笑顔でそう言った。
「そんなことできるんですか？」
　私は半分冗談でそう言った。
「できるよ」

　そう言って山本さんは、私の右手を再び取り、傷口を自分の口元に持っていった。そしてそっと傷口を唇に当てた。
「や、山本さん・・・！」
　山本さんは私の傷口を優しく舐める。
「ちょっと血が止まったよ」
　山本さんは得意げにそう言う。

　心臓が破裂しそうな勢いで鳴っている。山本さんの唇に触れた傷口が熱い。
「あ、また血が出てきちゃった」
　山本さんはそう言い、また傷口を自分の口元へ持っていく。

「山本さん・・・」
　体中が熱い。傷の痛みは全く感じない。・・・山本さんの言う通りだ。

　・・・でも・・・こんなやり方・・・ずるい・・・。

「これで大丈夫かな？」
　山本さんが私の手の甲から唇を離す。
「もう痛くないでしょ？」
　山本さんがニコッと笑いながらそう聞く。
　
　・・・その通りだから何も言えない。でも・・・でも・・・こんなの・・・。
　何だか最近、この人達にドキドキさせられっぱなしだ。

　傷口はもう、全く痛みを感じない。

「僕たちちょっと遅れちゃってるよ！」
　山本さんは私の手を引いて走り出す。そんな山本さんの顔を、私はもう、見ることができない。