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いつもより荒い呼吸をしながら


苦しそうに眠っているA


昔は、風邪ひくのは俺だったんだけどな













『拓朗!


アイス買ってきたで!どっちがい?』



「チョコの方」



『じゃあ私がバニラー』



「A、学校は?」



『拓朗が風邪ひいとるのに


ほっといて学校なんか行けらへん!』



「ってことは・・・」



『ん?休んだ!』













ドヤ顔するところじゃないのに


得意気に笑うAの笑顔は


いつも綺麗で、可愛くて


今思えば、その頃はもうAのこと好きだったのかもな





Aの額に手を当てると


心なしかAが微笑んだような気がした





あ、みんなに連絡しないと


伊沢さんか山本に連絡すると


俺も看病するとか言って来そうだし


Aを放っておくわけにもいかないし


申し訳ないけどふくらさんに買い出しを頼もう





「あ、もしもしふくらさん」



―川上さんどうしたの



「いま、Aの家にいるんですけど


Aが38度の熱出してて


放っておくわけにもいかなくて」



―あ、じゃあ僕が買い出し行っておくよ


Aちゃん、大丈夫?



「今眠ってて、呼吸荒いので


ちょっと心配ですね」



―何か買っていこうか?



「えっとじゃあ


冷却シートと風邪薬と


あと、フルーツが入ったゼリーを買ってきてもらってもいいですか」



―分かった、すぐ行く





相変わらず


ふくらさんはよくできた人だと思う


携帯を鞄にしまって


またAの寝顔を見つめる





「タオル・・・」





冷却シートが来るまで


頭を冷やすためにタオルを濡らしてこようと立ち上がった時





『ま・・・て』



「え」



『行か、ないで・・・』





弱弱しい力で


俺の手掴む、Aの小さな手


無意識なのかなんなのか


Aの顔を見てみても


ぐっすりと眠っているようにしか見えない





「行かないよ


どこにも」





嬉しいと思う反面


Aが俺を頼ってくれるのは


こんな時だけだということに


ちょっと落胆したりもする





「もっと頼って・・・」





俺はそっと立ち上がり


ぎしっと音をたてながら


ベッドで眠るAに近づく





内心、ごめんと謝りながら


そっと口付けを交わす





Aは多分


自分のファーストキスが山本だと思っているだろう


そう思うのも仕方ない


でも俺が、初めてAにキスをしてしまったのは


俺が東大に行くと決まった時だった

作者から ※割と重要→←34



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作品ジャンル:恋愛
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Lily(プロフ) - 泡姫さん» ありがとうございます!何度もコメントしてくださり、最後まで読んでくださって本当に嬉しかったです!本当にありがとうございました! (2019年1月18日 21時) (レス) id: 75dd804998 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫 - もう本当素敵すぎます!ありがとうございます。 (2019年1月17日 22時) (レス) id: c29d185bf6 (このIDを非表示/違反報告)
燐音(プロフ) - 泡姫さん» またコメントありがとうございます!川上さん人気ですね、参考になります!ありがとうございます!! (2019年1月17日 7時) (レス) id: ce053a5c30 (このIDを非表示/違反報告)
燐音(プロフ) - kinsakiさん» コメントありがとうございます!なるほど、参考になります!ありがとうございます!! (2019年1月17日 7時) (レス) id: ce053a5c30 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫 - 私も川上さん落ちがいいです! (2019年1月16日 22時) (レス) id: c29d185bf6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:燐音 | 作成日時:2019年1月10日 1時

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