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『QuizKnock、川上拓朗』



「本人いる前で調べるのやめてくれる？」





あの後


驚きのあまり、完全に手が止まってしまった私を


拓朗は早くしろと急かし


なんとか電車に間に合った


今は大学に向かっている最中





『ほんまに拓朗や』



「関西弁でてる」



『あ』





こう見えて、大阪出身の私は


気を抜くとすぐに関西弁が出てしまう


別に直す必要もないって色んな人に言われたけど


東京で関西弁はちょっと浮きそうな気がしてやだ





『youtuberやってるとか聞いてない』



「A忙しかったやん」



『でも、教えてくれてもええやん


拓朗のことは何でも知っときたいのに・・・』



「・・・」



『ん？』





無言で驚いたように私を見る拓朗


頭に？マークを浮かべていると


呆れたようにため息をつき、私にデコピンを食らわせた





『いった！』



「そういうことは軽々しく言わない」



『はー？意味わからん』





訳の分からないことを言っている拓朗を横目に


携帯で流れる動画に目を向けた





―はいどうも、QuizKnock編集長の伊沢です


―ライターの川上でーす





『わっ、しゃべった』



「しゃべるわ」



『この人知ってる、東大王に出てた人だ』



「伊沢さんは知ってるんだ」



『動画投稿してるとかは全く知らなかったけどね』





改めて幼馴染の動画を見ると


なんだか嬉しいような、寂しいような気もする


有名人なんだな、拓朗って





『この人かっこいいね』



「ああ、山本？


Aはこういう人がタイプ？」



『タイプとかはよく分かんないけど


単純にイケメンだなーって思った』



「ふーん」



『タイプってやっぱり、性格とかが重要なんじゃない？


って何の話してんだ』



「自問自答しないで」





歩きながら色んな動画を見た


拓朗は恥ずかしいのか、ずっと黙っていた


面白いな、動画とかあんまり興味なかったけどこういうのは好き


クイズとか結構好きだし





『拓朗、人気者だね


コメント欄、川上さんかっこいいだって』



「なに、嫉妬？」



『んー、そうかもー』



「適当だな」



『ただ、ちょっとだけ


遠い人になった気がして


ほんまにちょっとだけ寂しいってだけ』





動画を見ながら


なんだか恥ずかしいことを言ってしまった気がする


私たちはただの幼馴染であり、恋人ではないのだ





「A・・・」



『ん？拓朗、どうし・・・』





「あれ、川上じゃん」

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