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🐰「イエナ、消毒液欲しいんだけどある?」
その言葉に無言で頷くイエナ。救急箱を持っているし汗もかいていて、きっと彼女の腕を処置したかったのだろうけどメンバーのこんな状況を見て動けなくなってしまったのだろう。弟たちにそんな思いをさせてしまい申し訳ないと思いつつ目の前の彼女に無意識に意識が向かってしまう。
最初よりはマシになっただろうか、まだ少し変動のある呼吸に胸を痛めながら彼女の腕を止血してガーゼを巻いた。綺麗に消えればいいと思う、この傷を見て彼女がまた苦しむ日が来なければいいのに。彼女が涙を流す要因が喜びだけであったらいいのにと思う。
🐰「チャギヤ、いっぱい泣いて疲れたでしょ」
そう声をかけると鼻をぐずぐずと鳴らしながら小さく頷く彼女。そんな様子を見て温かいココアでも作ってあげたかったのだけど、一秒でも目を離すと消えてしまいそうな気がして小さな身体をそっと抱いた。
🐰「お前らもありがとうね、俺がいなくて心配したでしょ」
🐣「僕たちは全然……」
🦊「どうしたらいいか分かんなくて……メンバーで尚且つヒョンの彼女なのに、ごめんなさい」
🐰「アニヤ〜謝るなよ、スンミナも電話助かったよ」
🐶「……ヒョンが素直だと変な気分ですね」
そう言ってスンミナは部屋に戻った。相変わらずに見えるけど少なからず心配はしてくれただろうし、今回は大目に見てやろう。そうしてやっと涙が止まったらしいAを見かねてヨンボクとイエナが近くに座り込む。
🦊「どうしたのヌナ」
🐧「……迷惑かけて、ごめんなさい」
🐣「ちがうよ、ただ僕たちは心配なんだ」
🐰「言いたくないならいいんだよ」
🐧「……言える」
そうしてAはぼろぼろになった腕を摩りながら呟くように話し始めた。
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作者名:おいしいねむい | 作成日時:2023年6月25日 23時