自傷行為 ページ8
タイトル通りなので注意
仕事中にスンミナから不在着信が5件入っていた。俺とスンミナとの個人のやり取りはそこまで頻度が多くない。通話をかけるなんてもってのほか。そもそもスンミナに限らずメンバーとは毎日顔を合わせているし何かあったらグループトークを通して会話するので、他のメンバーとも個人のトークが弾むことはそんなにないのだが。
🐰「
🐶「ヒョン、今仕事だよねごめん」
🐰「いいけど……なにかあった?」
🐶「その、Aが……」
収録が終わり次第すぐに宿舎に戻った。玄関のドアを開けるとAの泣き声が聞こえて靴を急いで脱いでリビングに急ぐ。そこには泣きじゃくったAとスマホを片手に立ちすくんでいるスンミナ、背中を摩るヨンボクに救急箱やティッシュを片手にAに触れるイエナ。そして床に広がった赤。
🐰「A」
🐣「ヒョン!」
俺の声を聞くや否や躓きつつも俺に駆け寄ってくるヨンボク。綺麗な目の淵には薄らと涙の跡があった。
🐣「ごめん、ヒョン、僕たち何もできなくて、」
🐰「何があったの」
🐣「元々気持ちが不安定な日だったみたいなんだけど……突然Aの泣き声が聞こえてみんなでリビングに行ったらこうなってて、僕、どうしようと思って」
そこまで話してまたヨンボクの目が潤みだす。そんな彼の目を急いで拭いながら彼女に近寄る。そんな彼女の腕から滴る赤色と目を背けたいほどに切れ込みが入った腕の傷。彼女の右腕に握られたカッターがそれを裏付けるかのようにぎらぎらと光っていた。
🐰「……A、」
🐧「ひぐ、ぁ、っ、うぇぇ、んんぐ、……っ、う〜……」
🐰「A」
泣きじゃくるAを引き寄せたところでやっと彼女は俺に気付いたようだった。胸の中で彼女が小さく俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。
🐧「りのくん、っ……ぅ、ぐ、」
🐰「Aどうしたの、今日は不安な日だったの?」
🐧「……ん、っぅ、りのくん、りのくん、」
🐰「まずは血止めようね、チャギヤ」
名残惜しいけど彼女の温もりを手放した。いつの間にか白いシャツには赤色が滲んでいて少し嬉しかったのだけど彼女の腕を見ればそんな気持ちもすぐに薄れさった。壊れかけのジオラマのような彼女の腕に触れる。
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作者名:おいしいねむい | 作成日時:2023年6月25日 23時