Qちゃんの世話係は本日を持って…(その1)

世話係と名探偵 ページ18

「これは…武装探偵社の江戸川殿。」

乱歩「ん？君は世話係の…誰だっけ」

Qのお遣いで駄菓子屋に来ていたA。その駄菓子屋に武装探偵社の主軸である江戸川乱歩と邂逅した。

「小生は…夢野久作,専属の世話係。
花蕾Aと申します」

乱歩「ポートマフィアなのに,僕に手を出さないんだね」

Aは無表情のまま「命じられて居ませんので」と答え,メモを見ながらプラスチック製の小さなカゴにお菓子を詰めていく。

ジッと乱歩からの探るような視線。

乱歩「君さ…永くないよね」

「…流石は名探偵殿。よくお分かりで」

真白い肌。具合の悪い時の肌色で微かに笑った
“永らえない”と悟り,覚悟を決めた人間にしか出来ない微笑。

「この事は口外なさらないで」

乱歩「良いよ。黙っておくよ」

──────────────────

買い物を終えて駄菓子屋を出た乱歩。
すると怒声をあげて此方に走ってくる男が居た。

「江戸川ァ!!テメェの所為で!!」

私怨。
その男は刃物で乱歩に危害を加えようとしていた。だが……。

其れはAによって阻止されている。
目にも止まらぬ速さの横蹴りが男にヒットする。

身体能力が高い。
まるで異能技師による身体強化施術を受けた人間と同等の動きを見せた。ふわっと空気で広がる長いワンピースの裾。

「私怨が多いのは探偵社の業ですね」

乱歩「助かったよありがとね」

「小生はこれで…」

単調な返事をして去って行ったA。
乱歩は「はぁ〜」とため息をつく

「短い命だから一人称が“小生”か。
自分を皮肉り過ぎだよ。」


電柱に括り付けられた男は近くにいた警官に御用となった。乱歩はパリッと駄菓子を噛じると探偵事社に戻っていく。

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