世界に見捨てられた人間7 (ページ39)

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申し出ページ39

「フム…携帯…いや写真機の方か。大方被写体(おおかたひしゃたい)の状態を
どうこうするものだったのだろう。」

攻撃を仕掛けた当本人は、冷静に相手の術式を分析して、床に落ちた菜々子のスマホを拾い上げる。

寛容(かんよう)な訳が無かった

所詮(しょせん)、呪いだから

そう思っていたのに、私があの2人に簡易結界を張ったのは何故か

あんな呪詛師紛(まが)いの2人に結界を使って守るなど
呪力の無駄遣(づか)いに決まっているではないか

でも、それでも結界を使ったのは

私の気紛(まぐ)れか

その理由は、私自身も分からない

「つまらん。…次はオマエだ、呪霊。」

スマホを握り潰すと同時に、宿儺は漏瑚の方を振り向く。

「何の用だ？」

単刀直入に聞く宿儺に、漏瑚は答える。

「用は…無い！！」

『(いや…ここに来て、それは無いな。)』

「何？」

宿儺はその意図が気になっているようだ。

深掘りされると碌(ろく)な事が無いから気をつけよう。

「我々の目的は…宿儺、貴様の完全復活だ。

今は虎杖の適応が追いつかず、一時的に自由を得ているに過ぎない。

それは自身が一番分かっているハズだ。

(宿儺の反転術式が他人の治癒も可能なものだとしても…真人の「無為転変」で
変えられた魂の形は反転術式でどうこうできるものではない…)

宿儺はあの時“縛り”を作らなかったのではない、作れなかったのだ！！」

あまりにもズバッと言う漏瑚に私はあっけからんと思った。

「虎杖悠仁が戻る前に、奴との間に”縛り”を作れ！！肉体の主導権を永劫(えいこう)
得るための“縛り”を！！」

そんなの無茶だ。

第一、宿儺はそんな1個人、しかも呪霊の意見を素直に聞いてくれる呪いじゃあないんだ
って事をコイツは知ってる？

「虎杖の仲間が渋谷(ここ)に大勢来ている！！」

仲間…私も何気にその1人か恐ろしい

「やり方はいくらでもある！！」

こりゃダメだ、熱心過ぎて逆に鬱陶(うっとお)しい。

「必要無い。」

宿儺は漏瑚の依頼をあっさりと切り捨てた。が

「(え____？)」

「俺には俺の計画がある。だがそうか…ククッ、必死なのだな、呪霊(オマエら)も。
指の礼だ、かかって来い。
俺に一撃でも入れられたら呪霊(オマエら)の下(もと)についてやる。」

まさかの掌(てのひら)返しの承諾(しょうだく)…
だが、それにはまだ続きがあった。