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「じゃあさ〜」
ゴクオーはベッドから起き上がってAに歩み寄った。
「なぁ〜んで顔色がそんなにいいのかなぁ?」
ニヤ、と笑うゴクオー。
「そんなことないですよ、きっと悪いです」
Aは飄々と目を逸らし、天井を見た。その目は、全てを諦めているような、そんな目だった。
ゴクオーは考えた。
(ここで舌を抜くこともできるが・・・それじゃ罰にならねぇし、それに
ユリ太郎の言ってた、Aを救うためにはならない)
ゴクオーは「そっか!じゃ、お大事になー」とでていった。あまりにも呆気なかったので、Aはぽかんとした。
「私、閻魔様の前でウソついちゃった」
*
5時間目が始まる前、私は保健室から教室に戻ってきた。
でも、なにかがおかしい。というか、昔と同じようだった。
クラスのみんながヒソヒソと私を見て話している。
私は勘づいた。あのユーリィくんの取り巻きの女の子達がやったのだと。
私は急いで席につき、聞き耳をたてた。
「Aさんって男好きらしいよ」
「ユーリィくんを誑かしたんだってー」
火のない所に煙は立たない。私は小さくため息をついた。
やっぱり人と関わるなんてやめた方が良かった。
私は静かに教科書を開いた。その時、天子さんが話しかけてきた。
「Aちゃん、大丈夫?」
「え」
こんなに変な噂が立ってると言うのに、私に話しかけてきた・・・?
いくら小学生とはいえ、人が良すぎる。私は身構えた。
「あ、だ、大丈夫です」
「そっか、あんまり無理しないでね」
微笑を私に向ける彼女。
私は、彼女は同情をしてるのだと気づいた。かつてもそうだった。
『大丈夫?』
なんて聞いて、本当に苦しい時は見て見ぬふり。信じてたのに、つらかった。
だから私はもう誰も信じないし、関わらない。
唯一心を許せそうなユーリィくんとも、もう関わりたくない。
私は、またこんな惨めな生活を歩んでいく。
チャイムがなった時、私の心はズブズブと闇に引き込まれた。
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作者名:くもり。 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qqwqqwqqw1/
作成日時:2020年8月28日 13時