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「じゃあさ〜」

ゴクオーはベッドから起き上がってAに歩み寄った。

「なぁ〜んで顔色がそんなにいいのかなぁ?」

ニヤ、と笑うゴクオー。

「そんなことないですよ、きっと悪いです」

Aは飄々と目を逸らし、天井を見た。その目は、全てを諦めているような、そんな目だった。

ゴクオーは考えた。

(ここで舌を抜くこともできるが・・・それじゃ罰にならねぇし、それに



ユリ太郎の言ってた、Aを救うためにはならない)

ゴクオーは「そっか!じゃ、お大事になー」とでていった。あまりにも呆気なかったので、Aはぽかんとした。

「私、閻魔様の前でウソついちゃった」



5時間目が始まる前、私は保健室から教室に戻ってきた。

でも、なにかがおかしい。というか、昔と同じようだった。

クラスのみんながヒソヒソと私を見て話している。

私は勘づいた。あのユーリィくんの取り巻きの女の子達がやったのだと。

私は急いで席につき、聞き耳をたてた。

「Aさんって男好きらしいよ」
「ユーリィくんを誑かしたんだってー」

火のない所に煙は立たない。私は小さくため息をついた。

やっぱり人と関わるなんてやめた方が良かった。

私は静かに教科書を開いた。その時、天子さんが話しかけてきた。

「Aちゃん、大丈夫?」
「え」

こんなに変な噂が立ってると言うのに、私に話しかけてきた・・・?

いくら小学生とはいえ、人が良すぎる。私は身構えた。

「あ、だ、大丈夫です」

「そっか、あんまり無理しないでね」

微笑を私に向ける彼女。

私は、彼女は同情をしてるのだと気づいた。かつてもそうだった。

『大丈夫?』

なんて聞いて、本当に苦しい時は見て見ぬふり。信じてたのに、つらかった。

だから私はもう誰も信じないし、関わらない。

唯一心を許せそうなユーリィくんとも、もう関わりたくない。

私は、またこんな惨めな生活を歩んでいく。

チャイムがなった時、私の心はズブズブと闇に引き込まれた。

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作者名:くもり。 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qqwqqwqqw1/  
作成日時:2020年8月28日 13時

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