ローズマリーをあなたに【qk】 (ページ21)

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この別荘で、

わたしがお気に入りの場所。

建物の裏の、なんてことない、ベンチ。

たまにひとりで考えたいときに、

部屋じゃなくてここに、来る。

(須貝さんになんでも相談してしまうから。

ここに来ることも、数えるほど。)

『……A？』

福良くんが、建物の裏口から顔を出している。

『…え、あ、福良くん？

ここいるの、よくわかったね。』

『いや、偶然。

さっき散歩したとき、見つけて。

いい場所見つけたと思って来てみたら先客。』

学生のときから。

福良くんがすきそうなものと、

なんとなく似通っているかんじがしていて。

だから、すきだったんだよなあと、思う。

『じゃあ、わたしがいないときは、

ここつかっていいよ。』

『え、なに、偉そう。

あ、管理人なのか。

じゃあ偉いね。』

………よかった。

ふつう、に話せてる。

いや、もう10年近くたってるし。

……もう、感情が乱されることは

『あのさあ。』

……………ない、

『単刀直入にきくけど。

さっきのスタッフって、Aとどういう関係？』

…………はずだったのに。