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兄妹故に3 ページ7

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「ここまで来れば大丈夫だろう……」


佐久間は港にある物置小屋にAを抱きかかえながら連れ込む。

そして呆然としてるAを木箱の上に座らせ、呼吸を整えさせる。


「私を説得させる気?」

「…ああ、そうだ。おとなしく軍に来てくれ。こちらでマイクロフィルムは回収してあるし、庇えることくらいならできる」

「あなたの気遣いはありがたいし、嬉しい。でも私はあなたのようにはなれない。軍人様の嫌いなスパイよ? よくて拷問。悪くて死しかないわ」

「だが…!!」

「…ありがとう」

「え」



Aはゆっくりと微笑んだ。

それは作られた微笑みではなく心の底から笑っているように見えた。

彼女もまたこのように笑うのか、と佐久間は言葉を失った。



「こんな私に気にしてくれる人がいたなんて思わなかったから。でもまあ私はスパイだから無理な話ね」

「うぐっ…!?」


Aは素早く佐久間の懐に潜り込み、腹に肘をいれた。

佐久間は衝撃のあまり、腹をかかえてその場に倒れ込む。

そして苦痛を顔に浮かべながらAを見上げる。


「なぜ…俺は…」

「ごめんなさい。でも貴方のその優しさはいつか身を滅ぼす。優しさを与える人間を間違えたのよ。私は……」

「はぁい、そこまで」


いきなりAの体が重くなる。

先ほど車に乗っていた男に後ろから抱きしめられている。

だが、そんな甘酸っぱいものではない。

首筋に脅しのためのナイフが当てられている。



「野蛮ね」

「いや、俺だってこんなことはしたくないさ。むしろAちゃんとデートしたいくらいなんだけどそういう訳にもいかないからさ?」

「……ここで抗ったらどうなるのかしら?」

「うーん、声が出せなくなるんじゃない? 死人に口無しって言うだろ?」

「そう。命を取られるのはごめんだね。……戻るわ、あの場所に。なんせ、お兄様でさえ、私の敵だもの」

「俺は素直な子は好きだよ。じゃあ、行こっか」


だが、Aは待って、と男を静止させる。


「この軍人様はどうなるの?」

「一応、迎えを寄こす予定。なあ、波多野?」

「福本たちに連絡はいれたから来るんじゃね?」

「だそうです」

「…そう」


そしてAは佐久間の頭をさらっと撫で、物置小屋を出た。

佐久間はそれを眺めることしかできない悔しさに下唇を強く噛んだ。

はじめまして、キライ→←兄妹故に2



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えもん(プロフ) - 瑠璃(仮)さん» コメントありがとうございます!!実井は余裕だろうなあ、思いつつ書いてたのでキュンキュンしてもらえたなら嬉しい限りです!!更新頑張らせてもらいます!!!! (2016年8月11日 20時) (レス) id: fbc751c778 (このIDを非表示/違反報告)
えもん(プロフ) - ミコル・リアさん» コメントありがとうございます!!これからも頑張らせてもらいますね!! (2016年8月11日 20時) (レス) id: fbc751c778 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(仮)(プロフ) - 実井くんの余裕綽々とした態度がキュンキュンします(*´罒`*)これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2016年8月8日 16時) (レス) id: 586ec9aef4 (このIDを非表示/違反報告)
ミコル・リア(プロフ) - すごく面白くて大好きです!これからも頑張って下さい! (2016年8月5日 21時) (レス) id: 3d9f6a0a6f (このIDを非表示/違反報告)
えもん(プロフ) - 瑠衣さん» コメントありがとうございます!!まさかの禁断の果実にファンが!!やはりパラレルなので幻滅されるかと思ったんですがそう言っていただけると嬉しいです!!応援に応えれるよう頑張ります!! (2016年7月30日 20時) (レス) id: fbc751c778 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えもん | 作成日時:2016年7月27日 12時

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